社会保険の基本手続きガイド:入社から退職までを紹介します!

社会保険(厚生年金保険・健康保険)は会社に入社し、要件を満たしますと必ず加入する保険となります。

加入手続きは会社が行い、毎月給与から保険料が控除され、何も無ければ保険を使わない日々が過ぎていくということで、従業員にとっては保険に加入しているという実感が湧きませんが、社会保険はその名の通り保険制度ですので、しっかりした保険機能がございます。

今回は入社から退職までの社会保険の手続について、まとめて見ていきたいと思います。(要件や内容についての詳細は別途ご確認下さい。また、健康保険組合の健康保険については、届け出先は組合であり、内容や手続きが異なる場合がございます。)

目次

入社したとき

従業員が入社し、社会保険の加入要件を満たしますと、資格取得手続きが必要です。

会社は資格取得届を管轄の日本年金機構事務センター(以下事務センター)に届け出となります。

こちらの届け出により被保険者としての資格を有し、社会保険の恩恵を受けることができます。

入社

資格取得届・・・事務センター

社会保険料について

資格取得の際に給与額に応じた標準報酬月額が決定され、標準報酬月額に基づく社会保険料を毎月の給与から控除いたします。

賞与を支給した時には賞与額に応じた社会保険料を賞与から控除いたします。

社会保険料は給与・賞与ともに会社と従業員が折半負担となります。

そして、こちらの社会保険料は将来貰える老齢厚生年金額の基礎となります。

社会保険料

毎月の給与、賞与支払いの都度控除

賞与を支給したとき

賞与を支給したときには、賞与から社会保険料を控除し、賞与支払届を事務センターに届け出となります。

届け出いたしますと標準賞与額が登録され、賞与にかかる社会保険料の請求が会社に行われます。

賞与支給

賞与支払届・・・事務センター

40歳になったとき

40歳になりますと、介護保険料が発生いたします。

こちらは標準報酬月額に応じた金額となっており、毎月の給与から控除いたします。

賞与を支給した時にも介護保険料は発生いたします。

介護保険料控除の控除対象期間は40歳から65歳になるまでとなります。

40歳になった時

介護保険料控除開始・・・届け出は不要です

65歳になったとき

65歳になったときは介護保険料の給与からの控除が無くなります。

65歳からは老齢年金が受給可能となります。

会社での手続きはありませんが、個人に通知が送付されますので、それに基づいて手続きとなります。

65歳以降の介護保険料は年金から控除(特別徴収)、または納付書・口座振替により納付(普通徴収)となります。

65歳になった時

介護保険料控除終了・・・会社からの届け出は不要

65歳になった時

老齢年金・・・個人で手続き

70歳になったとき

厚生年金保険は70歳になるまで被保険者となり、70歳になりましたら資格喪失となります。

こちらは手続きを要せず自動的に喪失となります。

同時に70歳以上被用者該当者として登録が行われます。

70歳以上被用者該当者について、そのまま社会保険に加入するような働き方を継続する場合、支給されている給与と老齢厚生年金の金額に応じて、老齢厚生年金が支給停止となります。

支給停止額を日本年金機構が確認するために70歳以降支給される給与(報酬)の届け出を年金機構に行います。

こちらを厚生年金保険の70歳以上被用者該当と呼びます。

70歳以降社会保険に該当しないような働き方になりますと、健康保険の喪失と70歳以上被用者非該当届を事務センターに提出となります。

70歳になったとき

厚生年金保険資格喪失・70歳以上被用者該当者として登録・・・届け出は不要です

75歳になったとき

健康保険は75歳になるまで被保険者となりますので、75歳になりましたら資格喪失となります。

こちらは資格喪失届が必要となります。

75歳以降も継続して社会保険の加入要件を満たすような働き方である場合には、70歳以上被用者該当者としては継続しますので、70歳以上被用者非該当届の届け出は行いません。

なお、75歳以降の健康保険については後期高齢者医療制度に加入となります。

75歳になったとき

健康保険資格喪失届・・・事務センター

75歳以降も継続雇用の場合

70歳以上被用者該当者のまま

70歳以上被用者として該当しなくなったとき

70歳以上被用者該当の方が社会保険の加入要件を満たすような働き方でなくなった場合、または退職の場合には、70歳以上被用者非該当届を事務センターに提出となります。
(70歳以上75歳未満の方は健康保険の喪失も必要です)

70歳以上被用者として該当しなくなったとき

70歳以上被用者非該当届・・・事務センター

産前産後休業をとったとき

産前産後休業期間内中(産前6週間・産後8週間)については、産前産後休業取得者申出書を事務センターに届け出ることにより、社会保険料が免除となります。

産前産後休業

産前産後休業取得者申出書・・・事務センター

出産したとき

産前産後休業(産前6週間・産後8週間)について、出産手当金支給申請書を管轄の協会けんぽ(以下協会けんぽ)に届け出ることにより、健康保険から出産手当金が支給されます。

また、病院で手続きを行うことにより、健康保険から出産育児一時金が支給されます。

出産手当金

出産手当金支給申請書・・・協会けんぽ

出産育児一時金

ご本人が病院にて手続きとなります

育児休業をとったとき

育児休業期間中については、育児休業取得者申出書を事務センターに届け出ることにより、社会保険料が免除となります(最大で子が3歳になるまで免除)。

育児休業

育児休業取得者申出書・・・事務センター

氏名変更・住所変更となるとき

氏名や住所が変更になった場合には原則手続きは必要ありません。

マイナンバーと基礎年金番号が結びついている方は、社会保険上の氏名・住所を日本年金機構が変更します。(健康保険組合に加入の場合には別途手続きが必要です。)

そのため、結婚をされて姓が変更となった方はしばらくすると新しい姓での健康保険証が会社に送付されます。

氏名変更・住所変更

原則手続きはありません

随時改定(月額変更)

被保険者の報酬が、昇(降)給等の固定的賃金の変動に伴って大幅に変わったときは、標準報酬月額を改定します。

具体的には変動月から3か月の給与を平均し、標準報酬月額表に当てはめた時に2等級以上変動する方となり、変動月から4か月目の標準報酬月額が改定れます。

被保険者報酬月額変更届を事務センターに提出します。

随時改定(月額変更)

月額変更届・・・事務センター

定時決定(算定基礎)

現在の実際の給与と標準報酬月額との間に大きな差が生じないように、毎年7月1日現在で使用している全被保険者の3か月間(4月、5月、6月)の給与を算定基礎届により届出し、毎年1回標準報酬月額を決定し直します。

これを定時決定といいます。

決定し直された標準報酬月額は、9月から翌年8月までの各月に適用されます。

途中で随時改定に該当する場合には、随時改定により標準報酬月額が変更となります。

定時決定(算定基礎)

算定基礎届・・・事務センター

病気・怪我でお休みしたとき

業務外での病気や怪我の療養のため仕事を休み、給与支給がありませんと傷病手当金の支給対象となります。

医療費が高額になる見込みの場合、事前に限度額適用認定の申請を行うことにより、支払う医療費が一定額以上かからなくなります。

また、高額な医療費がかかってしまい、事後に申請することにより高額療養費として給付を受けることができます。

傷病手当金

傷病手当金支給申請書・・・協会けんぽ

限度額適用認定

限度額適用認定申請書・・・協会けんぽ

高額療養費

高額療養費支給申請書・・・協会けんぽ

障害・遺族の給付

障害になった時、死亡した時には年金または一時金が支給されます。

手続きは被保険者本人または遺族が年金事務所に行います。

障害・遺族の給付

年金事務所へご相談ください

死亡したとき

被保険者または被扶養者が業務外の事由により死亡した時には、届け出により埋葬料(家族埋葬料)が支給されます。

届け出は埋葬を行う方が行います。

死亡した時

埋葬料支給申請書・・・協会けんぽ

退職したとき

従業員が退職しますと資格喪失手続きが必要です。

会社は資格喪失届を届出となります。

こちらにより被保険者としての資格を喪失します。

なお、資格喪失日は退職日の翌日となります。

退職

資格喪失届・・・事務センター

まとめ

以上、社会保険について基本的な手続きをまとめました。

各届け出により細かな要件がございますので、実際の手続きの際には、要件をしっかり確認していただくことをお願いいたします。

また、こちらで紹介していない制度もございますので、日本年金機構や協会けんぽのホームページをご確認いただくと便利です。

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