社会保険制度の保険料のはどのように計算される?各制度ごとの保険料算出について解説します!
健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険等、働く方はこれらの保険に加入しています。
この保険は就労・通勤中や生活の中での出来事に対して給付が行われます。
保険に加入している被保険者は保険料を支払い、その代わりに保険の恩恵を受けることになります。
保険料を負担し、保険の恩恵を受ける制度を社会保障制度と呼び、不測の事態(怪我・病気・障害・死亡・失業・老後の収入減・介護等)が起きても保険により補填され、一定の生活が保たれるような仕組みとなっております。
今回は各保険の保険料がどのくらいになるのかを見ていきたいと思います。
まずは各保険について簡単に紹介していきます。
健康保険
会社等に勤務する方が加入する健康保険です。
業務外・通勤外の怪我・病気等に使用でき、病院にかかると健康保険適用により、医療費の負担が軽くなります(原則3割負担、7割は保険給付)。
また、様々な給付があります。
介護保険
介護を要する状態になった時に、介護サービスを1割~3割負担で受けることができます。
厚生年金保険
会社等に勤務する方が加入する年金制度です。
年金は次のものがあります。
- 老齢厚生年金:65歳から支給
- 障害厚生年金:障害を負った方に支給
- 遺族厚生年金:死亡した場合に支給
雇用保険
会社等に勤務する方が加入する保険制度です。
失業時の生活や雇用の安定を目的とする保険です。
- 失業時・・・・・失業等給付
- 育児休業中・・・育児休業給付
- 介護休業中・・・介護休業給付
- 高年齢・・・・・高年齢雇用継続給付
労災保険
業務上または通勤上による怪我・病気・障害・死亡に対して保険給付が行われます。
会社等に勤務すると自動的に労災保険が適用されますので、加入の手続きはありません。
各保険の保険料率
各保険については保険料率が定められ、給与・賞与に保険料をかけることにより、保険料が算出されます。
そして、給与から保険料が控除されます。
同時に会社も保険料を負担します。
健康保険料・介護保険・厚生年金保険料については、被保険者と会社で折半負担となり、雇用保険料については被保険者より少し高い料率で定まっております。
労災保険料については会社のみが負担するものとなっております。
労基法で業務上の怪我・病気等は会社が災害補償を行う義務を負っておりますが、労災保険によりその会社の義務が履行されることになります。
したがって本来会社が負う義務を保険という形で履行するわけですので、会社のみの負担となります。
また、会社は一般拠出金、子ども子育て拠出金を負担します。
各保険料の被保険者負担
各保険料の月あたりの被保険者負担は下記となります。
健康保険料率・・・1000分の99.8(こちらを会社と折半)
介護保険料率・・・1000分の16(こちらを会社と折半)※40歳以上65歳未満
厚生年金保険料率・・・1000分の183(こちらを会社と折半)
雇用保険料率・・・1000分の6
※令和6年度の料率、健康保険料率は協会けんぽ東京支部のものです。
※雇用保険料率は業種により異なり、農林水産業等と建設業は1000分の7です。
※健康保険・介護保険・厚生年金保険料率は標準報酬月額・標準賞与額にかけ、雇用保険料率は支給した給与額にかけます。
各保険料の計算
実際にどのくらいの保険料になるか計算してみましょう。
例として、毎月の給与が30万円(標準報酬月額30万)、賞与1回50万円(年2回支給)の年収460万円の方の場合。年齢は40歳で小売業の会社とします。
被保険者負担分
健康保険料
給与分 標準報酬月額30万×1000分の99.8÷2=14,970円
賞与分 標準賞与額50万×1000分の99.8÷2=24,950円
介護保険料
給与分 標準報酬月額30万×1000分の16÷2=2,400円
賞与分 標準賞与額50万×1000分の16÷2=4,000円
厚生年金保険料
給与分 標準報酬月額30万×1000分の183÷2=27,450円
賞与分 標準賞与額50万×1000分の183÷2=45,750円
雇用保険料
給与分 30万×1000分の6=1,800円
賞与分 50万×1000分の6=3,000円
月額保険料=46,620円
賞与保険料=77,700円(1回)
年間保険料=(46,620円×12か月)+(77,700円×2回)=714,840円
給与が一定で、保険料率も変わらない場合、年間714,840円負担していることとなります。
会社負担分
健康保険料
給与分 標準報酬月額30万×1000分の99.8÷2=14,970円
賞与分 標準賞与額50万×1000分の99.8÷2=24,950円
介護保険料
給与分 標準報酬月額30万×1000分の16÷2=2,400円
賞与分 標準賞与額50万×1000分の16÷2=4,000円
厚生年金保険料
給与分 標準報酬月額30万×1000分の183÷2=27,450円
賞与分 標準賞与額50万×1000分の183÷2=45,750円
子ども子育て拠出金
給与分 標準報酬月額30万×1000分の3.6=1,080円
賞与分 標準賞与額50万×1000分の3.6=1,800円
雇用保険料
給与分 30万×1000分の9.5=2,850円
賞与分 50万×1000分の9.5=4,750円
労災保険料
給与分 30万×1000分の3=900円
賞与分 50万×1000分の3=1,500円
一般拠出金
給与分 30万×1000分の0.02=6円
賞与分 50万×1000分の0.02=10円
月額保険料等=51,456円
賞与保険料等=85,760円(1回)
年間保険料等=(51,456円×12か月)+(885,760円×2回)=788,992円
年収460万の方が1年にかかる保険料等は下記となります。
被保険者負担・・・714,840円
会社負担・・・788,992円
仮に、25歳から65歳までの40年勤めた場合の保険料を算出してみましょう。
(年収は全年齢で460万、保険料率は一定とします)
被保険者負担
25歳から39歳・・・678,040円×15年=10,170,600円
40歳から64歳・・・713,340円×25年=17,871,000円
合計・・・・28,041,600円
会社負担
25歳から39歳・・・752,192円×15年=11,282,880円
40歳から64歳・・・788,992円×25年=19,724,800円
合計・・・・31,007,680円
保険料等のみで、家が買えてしまう様な金額になります。
会社は年間で1人につき給与・賞与の他に80万円程を負担し、学校を卒業したあたりの方を定年まで雇用しますと、1人につき給与・賞与の他に3,100万円程負担するということになります。
年収460万円の方を1名雇用しますと、保険料等のみで年間でプラス80万円程負担となりますが、これらの保険の手続きを行う方も必要となりますので、人を雇用するということは見えない部分でかなりの費用が発生していることになります。
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今回ご説明させていただいた通り、働く方々は多くの保険に加入しております。
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