月額変更(随時改定)とは?社会保険料変更のプロセスを詳細に解説します!

今回は社会保険の月額変更届についてご説明させていただきます。

月額変更に該当する要件、手続きを行う際の注意点など詳細に解説しています。

ぜひお読みください。

目次

月額変更(随時改定)とは

毎年1回の算定基礎(定時決定)により決定された各自の標準報酬月額は、原則として1年間使用されますが、従業員の基本給や手当など毎月固定で支払われる報酬額が昇給や降給などで大きく変動した場合、現状に合わせて社会保険料の見直しを行います。

これを月額変更(随時改定)といいます。

社会保険料は、雇用保険料のように、各月給与の総支給額に保険料率を乗算するのではなく、「標準報酬月額保険料額表」の等級に区分した「標準報酬月額」に保険料率を掛けて算出します。

社会保険の月額変更は、実際の給与にあった適正な標準報酬月額で社会保険料を計算できるようにするために行う手続きになります。

月額変更届が必要になるとき(3要件)

社会保険の月額変更届は、以下の①~③の3つの要件すべてに該当したときに提出します。

※1つでも欠ければ非該当となり、届出は不要になります。

要件①

昇給や降給等の固定的賃金の変動、または賃金(給与)体系の変更がある

月額変更は、固定的な賃金が変動した場合に行われることを条件としています。

固定的賃金とは、月給や時給、住宅手当など、稼働や能率に関係なく、支給額や支給率が決まっているものになります。

●固定的賃金とは→支給額・支給率が決まっているもの。

基本給(月給、週給、日給)家族手当、通勤手当、住宅手当、役付手当など

☆固定的賃金に変動があったとは

  • 昇給(ベースアップ)
  • 降給(ベースダウン)
  • 固定的な手当(家族手当や役付手当など)の支給額の変更
  • 基礎単価(時給や日給)の変更
  • 請負給、歩合給などの単価や歩合率の変更
  • 一時帰休(レイオフ)による通常の報酬よりも定額な休業手当の支給

※病気休職等による休職給の支給は、固定的賃金の変動には該当しません。
※引っ越しによって通勤手当が変更された場合、住宅手当の支給が開始された場合も固定的賃金の変動があったと判断されます。

☆賃金(給与)体系の変更とは

  • 日給制から月給制への変更、月給制から時給制への変更など
  • 固定的な手当の新規支給

●非固定的賃金とは→稼働実績などによって支給されるもの。

残業手当、皆勤手当など

※非固定的賃金の変動のみでは、月額変更は行いません。
※非固定的賃金な手当が新設された場合、その新設された月を起算月として、以後の継続した3カ月間のいずれかの月において、新設された手当の支給実績が生じていれば、月額変更の対象となります。

要件②

変動月以後引き続く3カ月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上であること

「変動月」とは、変動後の給与が実際に支払われた月を指します。

例えば、給与が月末締め→翌月25日払の会社の場合で4月に昇給した場合、4月分の支払いは5月25日なので、変動月は「5月」になります。

また、1月に昇給があっても、その昇給による差額が実際に支払われたのが3月だった場合は、変動月は3月となり3月、4月、5月の引き続く3カ月で月額変更に該当するかを判断します。

月額変更が行われる条件として、固定的賃金に変動があった月以後継続した3カ月の支払基礎日数はいずれも17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上あることが必要です。

この3カ月に、支払基礎日数17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)未満の月が1カ月でもあれば、たとえ2等級以上の差が生じても月額変更は行われません。

※特定適用事業所に勤務する短時間労働者は引き続く3カ月の支払基礎日数が各月11日以上あれば、要件満たしますが、パートタイム労働者の月額変更については、引き続く3カ月の支払基礎日数がいずれも17日以上ある必要があり、算定の時のような特別な取り扱いはありません。

☆支払基礎日数の数え方

支払基礎日数の数え方は賃金形態により異なります。

●月給制(欠勤控除なし)

「暦日数」=「支払基礎日数」

例えば、末締め・翌月25日払いで4月分給与を5月25日に支給した場、5月の支払基礎日数は30日となります(4月の歴日数は30日のため)

●月給制(欠勤控除あり)

就業規則等に基づき定められた「所定労働日数」-「欠勤日数」=「支払基礎日数」

例えば、欠勤1日につき月給を月平均所定労働日数20日で除した額を減額する場合は、20日-1日=19日が当該月の支払基礎日数になります。

●日給・時給制

「出勤日数(有給日数含む)」=「支払基礎日数」

要件③

変動月から3カ月間の報酬の平均額と現在の標準報酬月額に2等級以上の差があること

固定的賃金が変動する前の標準報酬月額と変動月以降引き続く3カ月間に受けた報酬の平均額に該当する標準報酬月額を比較し、2等級以上の差が生じていること。

たとえば、従前の標準報酬月額が240,000円の被保険者が、変動月以降引き続く3カ月間に受けた報酬の平均額に該当する標準報酬月額が、280,000円以上(または200,000円以下)に該当すれば、「2等級以上の差が生じた」ことになります。

なお、標準報酬月額には上限・下限があるため、大幅に報酬が変わっても2等級の差が出ないこともありますが、1等級の差であっても、実質的に2等級以上の変動が生じた場合は月額変更を行います。

月額変更の対象とならない場合

  • 固定的賃金は増加しても、非固定的賃金が減少したため、3カ月間の平均額が結果として2等級以上、下がった場合、また、逆に、固定的賃金は減少しても非固定的賃金が増加し、3カ月間の平均額が2等級以上、上がった場合などは、たとえ2等級以上の差を生じても月額変更には該当しないものとして取扱います。
  • 病気休職等により、給与よりも低額の休職給が支払われたことにより、固定的賃金の増減があった場合は、月額変更の対象になりません。

これは、病気休職等などによって標準報酬月額が低くなってしまうと、傷病手当金などの保険給付の計算の際、被保険者に不利になってしまうからです。

一時帰休による休業手当が支給されたとき

一時帰休に伴い、就労していたならば受けられたであろう報酬よりも低額な休業手当が支払われることとなった場合は、これを固定的賃金の変動とみなし、2等級以上の差となれば月額変更の対象となります。

ただし、報酬のうち固定的賃金が減額される場合で、その状態が継続して3カ月を超える場合に限られます。

なお、休業手当等をもって標準報酬の決定や改定が行われた後に一時帰休の状況が解消したときも、月額変更の対象となります。

標準報酬月額の改定時期と適用期間

月額変更に該当すると、固定的賃金が変動した月から起算して、4カ月目に新しい標準報酬月額に改定されます。

新しい標準報酬月額は、改定が1月~6月の場合はその年の8月まで、7月~12月の場合は翌年の8月まで適用されます。

再び固定的賃金に変動があれば、再度、月額変更の対象となります。

オフィスステーションを使用し、手続きを効率化しましょう!

弊事務所では、クラウド型電子申請システム「オフィスステーション(https://www.officestation.jp/)」を使用し、手続業務の効率化を行っております。

月額変更の手続きについては、給与データをあらかじめオフィスステーションに登録しておくことによって、手続き時に手入力の必要がなく、効率的に作業を行うことが可能になります。

オフィスステーションを使用し、電子申請を行うことによって、進捗管理や公文書管理を行うこともできますので、ぜひご検討ください。

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