健康保険の報酬の取り扱いを通達から確認しましょう!報酬、賞与にかかる報酬の範囲等を詳細に解説します!

今回は健康保険に関する通達について(抜粋)お話しさせていただきます。

社会保険上の報酬の範囲や賞与にかかる報酬の範囲、前払い退職金、在宅勤務時の報酬の考え方についてご説明させていただきます。

通常の考え方と異なる取り扱いになる場合もございますので、ぜひお読みください。

目次

報酬の範囲

通勤手当

定期券を購入し支給することは、被保険者が事業主から受ける利益の一つであり、金銭で支払われるもののほか現物で支払われるものも労働の対償となり得る。(S32.2.21保文発第1515号)

3か月または6か月ごとに支給される通勤手当は、支給の実態は、原則として毎月の通勤に対して支給され、被保険者の通常の生計費の一部に充てられているため、報酬となる。

この場合、月額に換算して報酬に含めることになる。(S27.12.4保文発第7241号)

ポイント

6か月単位で購入した定期券を従業員に支給した場合は、その額をそれぞれの月数で割って、1か月当たりの額を算出し、現物給与として報酬に含めます。

休職手当

傷病による休職期間中に支給する「休職手当」、退職予定者に対し一定期間支給される「特命手当」等は報酬である。(S25.1.12保文発第44号)

私傷病手当金

労働協約により私傷病手当金を支給することとした場合、この手当金は報酬の範囲に含まれる。(S39.12.21庁保険発第46号)

報酬と傷病手当金の差額支給

労働協約で労務不能となったとき事業主が報酬と傷病手当金との差額を見舞金として支給する場合、これは名目的に見舞金でも、いわゆるお見舞ではなく、事業主と被保険者との雇用関係に基づいて事業主が病気中の報酬の一部を支給し、生活を保障しようとするものであり、報酬の中に含まれる。(S32.8.6保文発第6737号)

賞与にかかる報酬の範囲

毎年7月1日現在における賃金、給与、俸給、手当又は賞与及びこれに準ずべきもので毎月支給されるもの(以下、「通常の報酬」という。)以外のもの(以下、「賞与」という。)の支給実態が次のいずれかに該当する場合は、当該賞与は報酬に該当する。

  • 賞与の支給が、給与規定、賃金協約等の諸規定(以下「諸規定」という)によって、年間を通じ4回以上の支給につき客観的に定められているとき。
  • 賞与の支給が7月1日前の1年間を通じ4回以上行われているとき。したがって、賞与の支給回数が、当該年の7月2日以降新たに年間を通じて4回以上又は4回未満に変更された場合においても、次期標準報酬月額の定時決定(7月、8月または9月の随時改定を含む)による標準報酬月額が適用されるまでの間は、報酬に係る当該賞与の取扱いは変わらない。

賞与の支給回数の算定は、名称は異なっても同一性質を有すると認められるものごとに判別する。

例外的に賞与が分割支給された場合は、分割分をまとめて1回として算定する。当該年に限り支給されたことが明らかな賞与については、支給回数に算入しない。(S53.6.20保発第47号・庁保発第21号、改正:H15.2.25保発第0225004号・庁保発第2号)

1か月を超える期間にわたる事由によって算定される賃金額が分割して支給されることとなる場合は、通常の報酬に含めず、賞与にかかる報酬として取り扱う。(H27.9.18保保発0918第5号・年菅菅発0918第2号)

「通常の報酬」「賞与に係る報酬」及び「賞与」は、名称の如何にかかわらず、二以上の異なる性質を有するものであることが諸規定又は賃金台帳等から明らかな場合には、同一の性質を有すると認められるもの毎に判別するものであること。

「賞与」について、7月2日以降新たにその支給が諸規定に定められた場合には、年間を通じ4回以上の支給につき客観的に定められているときであっても、次期標準報酬月額の定時決定(7月、8月又は9月の随時改定を含む)による標準報酬月額が適用されるまでの間は、賞与に係る報酬に該当しないものとすること。(H30.7.30保保発0730第1号・年菅菅発0730第1号)

ポイント

年4回以上の賞与を報酬に含めるのは、給与規定などによって年4回以上支給されている賞与についてとなります。

通常は年3回以下の支給で既に賞与支払届を提出していたものの、その年に限り臨時に支給したり、本来の賞与を分割して支給した場合など、結果的に前年7月1日から当年6月30日までの賞与の支給回数が4回になったような場合には報酬には含めず、通常の賞与と同様に「賞与支払届」の対象となります。

賞与にかかる報酬額の算定

賞与にかかる報酬額は、標準報酬月額の定時決定又は7月、8月、もしくは9月の随時改定の際、次により算定する。

  • 7月1日前の1年間に受けた賞与の額を12で除して得た額
  • 7月1日以前1年以内に諸規定により賞与の支給回数が変更され、新たに当該賞与が報酬に該当したときは、変更後の諸規定による賞与の支給回数等の支給条件であったとすれば同日前1年間に受けたであろう賞与の額を算定し、その額を12で除して得た額(S53.6.20保発第47号・庁保発第21号、改正:H15.2.25保発第0225004号・庁保発第2号)

前払いで支払われる退職金

被保険者の在職時に、退職金相当額の全部または一部を給与や賞与に上乗せするなど前払いされる場合は、労働の対償としての性格明確であり、被保険者の通常の生計に充てられる経常的な収入としての意義を有することから、原則として、法第3条第5項または第6項に規定する報酬または賞与に該当する。

この前払い退職金の支給時期が不定期である場合は賞与として取扱い、これが年間4回以上支払われていているものであれば、報酬として通常の報酬月額に加算して取り扱われる。

また、退職を事由に支払われる退職金であって、退職時に支払われるものまたは事業主の都合等により退職前に一時金として支払われるものについては、従来どおり、健康保険法第3条第5項または第6項に規定される報酬または賞与に該当しないものと取り扱う。(H15.10.1保保発1001002号・庁保険発1001001号)

在宅勤務・テレワークおける交通費及び在宅勤務手当の取り扱い

在宅勤務・テレワークを導入し、被保険者が一時的に出社する際に要する交通費を事業主が負担する場合の報酬について

当該労働日における労働契約上の労務の提供地が自宅の場合

移動にかかる実費を事業主が負担する場合、当該費用は原則として実費弁償と認められ、「報酬等」に含まれない。

当該労働日における労働契約上の労務の提供地が事業所とされている場合

当該費用は原則として通勤手当として「報酬等」に含まれる。

在宅勤務・テレワークの実施に際し、在宅勤務手当が支給される場合、当該手当は「報酬等」に含まれるか否かの基本的な考え方

在宅勤務手当が労働の対償として支払われる性質のもの(実費弁償に当たらないもの)である場合

在宅勤務手当が、被保険者が在宅勤務に通常必要な費用として使用しなかった場合でも、その金銭を事業主に返還する必要がないもものであれば、「報酬等」に含まれる。

(例)事業主が被保険者に対して毎月5,000円を渡し切りで支給するもの

在宅勤務手当が実費弁償に当たるようなものである場合

在宅勤務手当が、テレワークを実施するにあたり、業務に使用するパソコンの購入や通信に要する費用を事業主が被保険者に支払うようなものの場合、その手当が、業務遂行に必要な費用にかかる実費分に対応するものと認められるのであれば、当該手当は実費弁償にあたるものとして、「報酬等」に含まれない。(R3.4.1厚生労働省保険局保険課事務連絡)

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