厚生年金の手続きにミスが発生した場合の対応方法は?詳細に解説します!

厚生年金保険の手続きは人の判断で行われます。

したがって、ミスを無くす努力をしても必ずいつかミスは生じてしまいます。

ミスを少なくするには、まずは厚生年金保険の手続きの正確な理解が前提となります。

手続きの時期・種類・内容や要件・対象者等を理解し、その上で記載ミスを減らすということなります。

手続きを間違えてしまい、訂正することになると、訂正方法の確認や訂正手続き、ご本人への説明等の時間と労力がかかります。

事例を交えて紹介しておりますので、ぜひお読みください。

目次

手続きミスの事例

日本年金機構が行った調査によると、会社の手続きについて下記の順で誤りが多いものとなっております。

賞与支払届

賞与を支給したものの、賞与支払届の提出が行われていないケースです。

内容としては通常の賞与とは異なり、臨時に支払われた一時金について届出がされていないものもあります。

代表例としては年末年始に勤務したことによる年末年始手当等の一時金です。

毎月の給与と一緒に支給している場合が多く、こちらの年末年始手当等の一時金については賞与支払届の対象となります。

一見届出が不要に思われがちな手当ですが、賞与支払届が必要となり、年金事務所の調査時に指摘を受けてしまいます。

資格取得届

厚生年金保険の加入要件(通常の労働者の4分の3以上または特定適用事業所の場合は週20時間以上の労働時間等)を満たしているにもかかわらず、資格取得を行わないケースです。

報酬月額訂正

資格取得時に届け出た標準報酬月額の基となる報酬と実際の報酬が異なるケースです。

例として、通勤手当や見込み残業代が含まれていないような場合となります。

資格取得年月日

資格取得日が異なるケースです。

試用期間中は厚生年金保険に加入させず、2カ月を経過した時に厚生年金保険に加入しているような場合です。

試用期間中であっても厚生年金保険の加入要件を満たしている場合には入社時から資格取得となります。

月額変更届

月額変更については、固定的賃金や給与体系の変更の都度確認が必要となります。

例えば通勤手当の単価が変更された場合や時給から月給に変更された場合も含みます。

意識して毎月確認しないと見落としがちな部分です。

給与計算ソフトにより自動で判定される機能がありますので、活用すると便利です。

資格喪失年月日

資格喪失年月日とは退職日の翌日となります。

こちらは退職日を記載し、誤った申請をしてしまうケースがほとんどのようです。

こちらを間違えると、保険料の賦課月が異なったり、退職後にご自身で加入する国民健康保険の加入日にも影響が出てくる場合がありますので注意が必要です。

基本的には訂正届で対応!

厚生年金保険における届出を訂正する場合、基本的な手続きをご説明します。

まず、誤っていた届出書類について、正確な内容で記載した届出書類を作成します。

次に誤って記載していた部分を赤字で記載します(正しい内容の近くに記載します)。

届出書類の一番上に記載のある届出名の下あたりに「訂正届」等と赤字で記載し、年金機構へ提出となります。

  • 手続きの訂正は電子申請ではできず、紙での届出となります。下記例は資格取得年月日について、正しくは9月1日が取得日だったところ、10月1日で申請してしまったケースです。訂正後は新しい資格取得決定通知書および健康保険証が送付されます。新しい健康保険証と差し替え、誤っていた保険証は日本年金機構に返却となります。

ミスを減らすには?

ミスは注意していても必ず起こります。

普段発生しないことですので、発生すると訂正方法を確認したり、本人に説明したり、保険料の修正を行ったり時間と労力がかかります。

例えば、資格取得日を1ヵ月誤ってしまった場合、資格取得日の訂正の手続きを行い、社会保険料を本人から1ヵ月分徴収すること、次回の給与計算にて社会保険料の調整、健康保険証の調整(1ヵ月さかのぼる場合、さかのぼる1ヵ月については他の健康保険証を使用している可能性がある)等の説明が必要となります。

ミスを最小限に抑えるために正確な厚生年金保険手続きの理解の他に、ミスを減らすような取り組みが必要です。

1.改善方法の共有

ミスが生じてしまった場合、改善することで終わらせてしまいがちですが、ミスについての内容と改善方法を共有することにより、他の方も同様のミスが生じないような仕組みが出来上がります。

共有することはとても大事であり有効的です。

2.業務リスト等の作成

厚生年金保険手続きは法律によって定まっておりますので、ある程度スケジュールを立てることができます。入社・退社・月額変更・算定基礎・賞与支払等が代表例です。

スケジュールを立てることで届出漏れのミスは無くなり、届出ごとに注意事項を記載すれば、内容についてのミスも減らすことができます。

3.システムを活用する

社会保険手続きをミスなく行うためには、システムを使用することがとても重要です。

システムとしては給与計算システムと社会保険手続きシステムに分けられます。

給与計算システムについては、月額変更の確認、算定基礎届の作成、賞与支払届の作成等の機能があるものがございます。

これらの届出は全て給与計算システムで計算したものから作成されることになりますので、システムの設定さえ間違いが無ければ、届出書類作成時の転記ミス等は無くなります。

また、電子申請に対応しているものもあり、給与計算システムからダイレクトに電子申請することができるものもありますが、全てではございません。

その場合、給与計算システムから出力したデータを社会保険手続きシステムに反映し、社会保険手続きシステムから電子申請を行うと正確に効率的に処理を行うことができます。

社会保険手続きシステムのメリットは、手続きの種類の確認が簡単であることです。

届出の名称は「資格取得届」「被扶養者異動届」「賞与支払届」となっておりが、システムを活用すると「入社した時」「家族が増えた時」「賞与を支給した時」等とわかりやすい言葉になっており、その時々に応じた手続きを選択することができます。

届出用紙の作成については、必要な項目を入力していくだけで、申請書類を意識せずに、いつの間にか申請書類が出来上がるようなイメージです。

また、必須項目について入力を行わないと、手続きが進めないようなシステムの作りになっておりますので、紙での申請で派生しがちな入力漏れ等のリスクもなくなります。

入社時の手続きについては、新入社員が直接システムに個人情報(住所、扶養情報、雇用保険、社会保険の情報等)を入力できる機能を利用すれば、会社で入力内容を確認することで自動的にダブルチェックが行われることになります。

育児休業給付や高年齢雇用継続給付等、定期的に行うような申請も、アラート機能を使用することによって、手続き漏れ防止に役立ちます。

多数存在するシステムについて、お勧めなのが「オフィスステーション」です。こちらは弊所で使用している社会保険手続きシステムとなり、電子申請できる届出の種類や役立つ機能が豊富で、視覚的にもわかりやすく、直感的に操作できるシステムとなります。

便利なツールを利用することで、ミス防止に大きくつながります。

弊所には給与計算システムや社会保険手続きシステムに詳しいコンサルタントがおりますので、気軽にお問い合わせいただければと思います。

オフィスステーションを使用し、手続きを効率化しましょう!

弊事務所では、オフィスステーション(https://www.officestation.jp/)を使用し、手続業務の効率化を行っております。

オフィスステーションを使用し、電子申請を行うことによって、ミスの防止はもちろん、進捗管理や公文書管理を行うこともできますので、ぜひご検討ください。

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