事業所移転で通勤困難に…失業給付に影響する離職区分のポイント

雇用保険の喪失手続きを行う際、特定受給資格者なのか、あるいは特定理由離職者なのかという話がありますが、失業給付の給付日数や給付制限に影響するため、どちらに該当するのか問い合わせがあるかと思います。

その中でも、『事業所の移転によって通勤が困難となり離職した場合』は、特定受給資格者なのか、特定理由離職者なのか、それぞれ該当する場合について説明します。

目次

特定受給資格者に該当する場合は?

以下の全てに該当する場合、特定受給資格者となります。

  • 通常の方法により通勤するための往復所要時間が概ね4時間以上である
  • 事業所の移転について、事業主から通知されている(事業所移転の1年前以降の通知に限る)
  • 事業所移転直後(概ね3ヵ月以内)までに離職した場合
  • 雇用保険の被保険者期間・・・離職の日以前1年間に6ヵ月以上あれば受給資格あり
  • 待期期間・・・あり(7日)
  • 給付制限期間・・・なし
  • 給付日数・・・離職時の年齢と雇用保険の被保険者期間により異なります。
 被保険者であった期間
1年未満1年以上 5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
30歳未満90日90日120日180日
30歳以上35歳未満120日180日210日240日
35歳以上45歳未満150日240日270日
45歳以上60歳未満180日240日270日330日
60歳以上65歳未満150日180日210日240日

特定理由離職者に該当する場合は?

以下の正当な理由のある自己都合により離職した者に該当する場合、特定理由離職者となります。

  • 移転後の事業所への通勤が、被保険者にとって不可能又は困難となる客観的事情があり、通勤困難(通常の方法により通勤するための往復所要時間が概ね4時間以上)となった場合
  • 雇用保険の被保険者期間・・・離職の日以前1年間に6ヵ月以上あれば受給資格あり
  • 待期期間・・・あり(7日)
  • 給付制限期間・・・なし
  • 給付日数・・・年齢による差はありませんが、雇用保険の被保険者期間によって異なります。
 被保険者であった期間
1年未満1年以上 5年未満5年以上 10年未満10年以上 20年未満20年以上
全年齢90日(※)90日120日150日

※特定理由離職者については、被保険者期間が6ヵ月(離職以前1年間)以上あれば基本手当の受給資格を得ることができます。

特定受給資格者も特定理由離職者も、どちらも往復4時間以上という要件は変わりません。

このため、『事業所の移転によって通勤が困難となり離職した場合』で、特定受給資格者になるには、①~③の全てに該当する必要がありますが、①のみ該当して、②と③に該当しない場合、特定理由離職者に該当することもあります。

なお、特定理由離職者には、特定理由離職者1と特定理由離職者2がありますが、これらの違いは以下になります。

特定理由離職者1とは

期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(更新を希望したにも関わらず、更新がされなかった場合に限ります)。

契約の更新条項について、「契約の更新をする場合がある」と、契約の更新について明示はあるが、契約更新が確約されていない場合が該当します。

※契約期間が3年以上、更新1回以上、更新の希望があった場合は、特定受給資格者に該当します。

  • 雇用保険の被保険者期間・・・離職の日以前1年間に6ヵ月以上あれば受給資格あり
  • 待期期間・・・あり(7日)
  • 給付制限期間・・・なし
  • 給付日数・・・離職時の年齢と雇用保険の被保険者期間により異なります。
 被保険者であった期間
1年未満1年以上 5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
30歳未満90日90日120日180日
30歳以上35歳未満120日180日210日240日
35歳以上45歳未満150日240日270日
45歳以上60歳未満180日240日270日330日
60歳以上65歳未満150日180日210日240日

特定理由離職者2とは

以下の正当な理由のある自己都合により離職した者

  • 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
  • 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者
  • 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者
  • 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者
  • 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
    (a)結婚に伴う住所の変更
    (b)育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
    (c)事業所の通勤困難な地への移転
    (d)自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
    (e)鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
    (f)事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
    (g)配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
  • その他、「特定受給資格者の範囲」の「事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者」に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等
  • 雇用保険の被保険者期間・・・離職の日以前1年間に6ヵ月以上あれば受給資格あり
  • 待期期間・・・あり(7日)
  • 給付制限期間・・・なし
  • 給付日数・・・年齢による差はありませんが、雇用保険の被保険者期間によって異なります。
 被保険者であった期間
1年未満1年以上 5年未満5年以上 10年未満10年以上 20年未満20年以上
全年齢90日(※)90日120日150日

※特定理由離職者については、被保険者期間が6ヵ月(離職以前1年間)以上あれば基本手当の受給資格を得ることができます。

特定理由離職者の区分は、離職票が発行された際に決定されるわけではありません。

会社で離職票を発行後、本人がハローワークで求職の申込をする際に、離職理由や証明書類などをもとに、ハローワークで審査し、特定理由離職者として認められれば、「特定理由離職者」の区分で受給資格が決定されることになります。

必要書類や詳細につきましては、ケースバイケースとなりますので、管轄のハローワークへお問い合わせください。

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