健康保険の退職後の手続きは?任意継続制度について詳細に解説します!
今回は健康保険の資格を喪失した後の手続きについてご説明させていただきます。
健康保険には任意継続という制度があります。
どんな場合に任意継続できるのか、条件や保険料について詳細に解説しています。
ぜひお読みください。
被保険者の資格
被保険者になったときや、退職等により被保険者でなくなったときは、協会けんぽ(健康保険組合)や日本年金機構に届出をして、確認を受けることが必要です。
届出は、事業主が行うことになっています。
被保険者になる日と、被保険者でなくなる日は、次のとおりです。
被保険者になる日(資格取得日)
- 適用事業所に使用されるようになった日
- 使用されている事業所が適用事業所となった日
- 被保険者から適用除外される事由に該当しなくなった日
- 任意適用事業所として認可された日
被保険者でなくなる日(資格喪失日))
- 適用事業所に使用されなくなった日の翌日
- 被保険者から適用除外される事由に該当した日の翌日
- 任意適用事業所が任意脱退の認可を受けた日の翌日
- 死亡した日の翌日
退職後の健康保険について
退職後の健康保険の選択肢は以下の4つです。
- 健康保険の任意継続
- 国民健康保険へ加入
- 家族の扶養に入る
- 新しい勤務先の健康保険
健康保険の任意継続
任意継続被保険者
健康保険は、事業所単位の強制加入を原則としていますが、会社などを退職して被保険者の資格を失ったときは、一定の条件のもとに個人の希望により被保険者として継続することができます。これにより加入した被保険者を任意継続被保険者といいます。
任意継続被保険者となるための要件
- 資格喪失日の前日までに、「継続して2ヶ月以上の被保険者期間」があること。
- 資格喪失日から「20日以内」に申請すること。(20日目が営業日でない場合は翌営業日まで)
【申請先】
協会けんぽの場合→自宅住所地を管轄する全国健康保険協会の都道府県支部
健康保険組合の場合→加入していた健康保険組合
【申請に必要なもの】※協会けんぽの場合
任意継続の申請には「健康保険任意継続被保険者資格取得申出書」が必要です。
任意継続の保険証の発行について
保険証については、退職した事業所から提出される「資格喪失届(保険証を添付)」の処理完了後に任意継続の保険証が作成できるようになりますので、約2~3週間後に発行となります。
事業所からの資格喪失届の提出が遅れた場合や、4月等退職者が多い時期は、保険証の発行までに3週間以上かかる場合もあるので、退職者で任意継続希望の方がいたら、通常よりも早く喪失手続きを進めた方がよいです。
なお、令和元年10月以降、退職日の確認ができる証明書(退職証明書写し、雇用保険被保険者離職票写し、健康保険被保険者資格喪失届写し等、資格喪失の事実が確認できる事業主または公的機関の証明印が押された書類)を任意継続の申請時に提出することにより、日本年金機構の資格喪失処理の完了を待たずに、任意継続の保険証の作成ができるようになりました。(協会けんぽの場合)
被扶養者がいる場合
被扶養者がいる場合、本人の資格取得申出と一緒に扶養申請をします。その際は以下の「扶養の事実を確認できる書類(被扶養者の収入が130万円未満であることを証明する書類)」の提出が必要です。
≪扶養の事実を確認できる書類≫
収入がない方の場合・・・市区町村長が発行する直近の所得証明書または非課税証明書
アルバイトなど給与収入がある方の場合・・・給与証明、源泉徴収票の写しなど
自営業や農業、不動産収入等がある方の場合は・・・直近の確定申告書の写しなど
会社を退職された方の場合・・・、離職票、雇用保険受給資格者証の写しなど
年金収入のある方の場合は・・・年金の振込通知書、改定通知書の写しなど
被保険者期間
・任意継続被保険者となった日から2年間
※下記、任意継続被保険者の資格喪失理由2~6に該当する場合を除く
任意継続被保険者の資格喪失
次のいずれかに該当するときは、被保険者の資格を喪失します。喪失日以降は保険証を使用できません。
なお、3、4、5に該当した際は「資格喪失申出書」の提出が必要となります。
- 任意継続被保険者となった日から2年を経過したとき。(資格喪失日:被保険者証に表示されている予定年月日)
- 保険料を納付期日までに納付しなかったとき。(資格喪失日:納付期日の翌日)
- 就職して、健康保険、船員保険、共済組合などの被保険者資格を取得したとき。(資格喪失日:被保険者資格を取得した日)
- 後期高齢者医療の被保険者資格を取得したとき。 (資格喪失日:被保険者資格を取得した日)
- 任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を申し出たとき。(資格喪失日:申出が受理された日の属する月の翌月1日)
- 被保険者が死亡したとき。(資格喪失日:死亡した日の翌日)
保険料の納付期限
毎月の保険料は、月初めに送付される納付書でその月の10日(10日が土・日曜日又は祝日の場合は翌営業日)までに納めます。
(正当な理由なく納付期日までに保険料を納められないと、納付期日の翌日で資格喪失することとなり、被保険者証は使用できなくなります。)
初回保険料の納付期日については、保険者の指定した日となりますが、初回分の保険料が正当な理由なく納付期限までに納付されないときは、被保険者資格が取り消しとなります。
任意継続被保険者の保険給付
任意継続被保険者である間は、在職中の被保険者が受けられる保険給付と同様の給付を原則として受けることができます。ただし、傷病手当金・出産手当金は、任意継続被保険者には支給されませんので、ご注意ください。
※資格喪失後の継続給付に該当する場合、任意継続被保険者であっても傷病手当金・出産手当金を受けることができます。
保険料の額
会社に勤めていた時には、保険料を会社が半額負担していますが、退職後は会社の負担がなくなるため全額自己負担となり、支払う保険料が約2倍になります。
- 令和6年4月分からの保険料額 ※協会けんぽの場合
退職時の標準報酬月額×9.35%~10.42%(※)(40歳から64歳までの介護保険第2号被保険者に該当する方については、これに全国一律の介護保険料率1.60%が加わります)です。
(※)保険料額は都道府県ごとに異なります。
ただし、退職時の標準報酬月額が30万円を超えていた場合は、標準報酬月額は30万円で計算します。
- 保険料は原則として2年間は変わりませんが、以下に該当する場合は変更されます。
保険料が変更になるケース
- 任意継続加入中に40歳になり介護保険第2号被保険者に該当した場合、または65歳になり介護保険第2号被保険者に該当しなくなった場合
- 健康保険料率や介護保険料率が変更された場合
- 標準報酬月額の上限が変更された場合
- 保険料の異なる都道府県へ転出した場合
任意継続の保険料が退職時の標準報酬月額に応じて決まるのに対し、国民健康保険の保険料は市区町村単位で定められており、通常は源泉徴収票に記載されている前年の所得額に基づいて計算されます。
会社に勤めていた時の収入が高いほど保険料は高額になりますが、任意継続をするよりも国民健康保険に加入した方が保険料が低くなるケースもあります。
例えば退社時の収入が少なかったケースでは、退社時から2年間保険料が変わらない任意継続に入るよりも国民健康保険に入る方が保険料は低くなるかもしれません。
国民健康保険の保険料概算は、市区町村の健康保険課で確認することが可能です。任意継続と国民健康保険の保険料を比較し、保険料の低い方に加入するとよいでしょう。
健康保険の任意継続では、扶養家族が多いケースで扶養家族分の保険料を抑えることも可能です。退職後の健康保険については、保険料の支払額等からどちらがよいかをご自身で判断することになります。
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