老齢厚生年金って?受給要件や金額について詳細に解説します!

今回は厚生年金保険の老齢厚生年金について説明します。

厚生年金への加入期間がどれくらいあると受給できるのか、金額はどれくらいなのか、金額の計算方法等を詳しく解説しています。

ぜひお読みください。

目次

厚生年金保険の目的とは

厚生年金保険について、会社は様々な手続きを行っております。

入社時の資格取得届、随時改定の月額変更届、定時決定の算定基礎届、賞与支払届、退職時の資格喪失届等です。

なぜこのような手続きが必要で保険料を負担しているのかというと、厚生年金保険から支給される保険給付のためです。

厚生年金保険法第1条には「この法律は、労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」と定められております。

老齢により仕事を辞める場合、身体に障害を負って働くことが困難となる場合や一家の大黒柱を失った遺族は収入が激減し、生活に支障が生じます。

この様な場合に社会保障として保険給付が行われ、国民の生存が守られております。

保険給付を行うということは給付の基となる原資が必要ですので、保険料を徴収し、保険給付に充てております。

厚生年金保険の保険給付の中で、老齢についての保険給付である65歳からの年金がイメージしやすいのではないでしょうか。

今回はこの老齢年金について見ていきます。

老齢年金制度

日本国憲法第25条の生存権の理念(国民には生存権があり、それを国家が保障すること)を受けて、社会保障制度である年金制度があります。

国民全員に適用される国民年金制度、最も人口が多い被用者(給料を貰う方)保険制度である厚生年金保険制度です。

老齢年金は2階建ての年金制度と言われ、国民年金からは老齢基礎年金、厚生年金保険からは老齢厚生年金が給付され、65歳から受給することができます。

老齢基礎年金

厚生年金保険についてのお話を進めますが、老齢基礎年金についての理解が必要ですので、簡単に老齢基礎年金について触れていきたいと思います。

老齢基礎年金は国民年金制度から支給される年金です。

国民年金には20歳から60歳までのすべての国民が加入し、国民年金保険料を月単位で40年間納付することにより、65歳から満額795,000円(※)の年金が支給される仕組となります。(※年額となり、金額は改定が行われ、生年月日によって金額が異なります。)

受給資格期間(年金を受けるために必要な加入期間)は10年となります。

40年間納付することにより満額ですので、途中納めていない期間があると満額は支給されません。

例えば35年間分の納付だと、695,625円となります。

【計算式】

795,000円÷480ヵ月×420ヵ月=695,625円

年金は65歳から偶数月に前2カ月分が支給され、死亡するまで支給されます。

なお、令和6年度の国民年金保険料は月額16,980円となります。(毎年改定されます)

会社から給料を貰う方の給与明細を見ますと、国民年金保険料は控除されておりませんが、こちらは厚生年金保険料を支払うことにより、国民年金保険料を支払っていることになります。

実際に国民年金保険料を納付する方は学生、フリーターや個人事業主の方となります。

また、会社から給料を貰う方(厚生年金の被保険者)に扶養されている配偶者は国民年金第3号被保険者といい、国民年金保険料の負担はありませんが、国民年金保険料を納付したこととしてみなされます。

このように、全ての国民が対象となることから、1階部分の年金・基礎年金と呼ばれています。

老齢厚生年金

こちらは厚生年金保険の被保険者である方が対象となります。

対象者としては老齢基礎年金を受け取れる方について、厚生年金保険の加入期間が1ヵ月でもある場合に65歳から受給できます。

支給額は厚生年金保険の被保険者であった加入期間・納付した保険料によって異なります。

老齢厚生年金は報酬比例部分経過的加算部分加給年金部分があり、この3つで構成されています。(経過的加算部分、加給年金部分については別途要件がございます。)

報酬比例部分は老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金のいずれの給付においても、年金額の計算の基礎となるものです。

報酬比例部分の計算方法は?

老齢厚生年金の主な部分となる報酬比例部分について見ていきます。

老齢厚生年金の報酬比例部分の計算式は下記A+Bとなります。

A. 平成15年3月以前の加入期間

・平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入期間の月数

B. 平成15年4月以降の加入期間

・平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入期間の月数

※平均標準報酬月額とは、平成15年3月以前の加入期間について、計算の基礎となる各月の標準報酬月額の総額を、平成15年3月以前の加入期間で割って得た額です。

平成15年4月以降の期間については、標準報酬月額と標準賞与額の総額を、平成15年4月以降の加入期間で割って得た額となります。

5.481という率と標準賞与額が含まれることに違いがあります。

こちらは平成15年4月より、月給相当額である標準報酬月額だけでなく、賞与も年金額に反映させる総報酬制導入によるもので、平成15年4月から計算式が分けられております。

平均標準報酬月額および標準報酬月額の額計算において、過去の標準報酬月額と標準賞与額には、最近の賃金水準や物価水準で再評価するために「再評価率」を乗じます。

実際に報酬比例部分を計算してみましょう。

A. 平均標準報酬月額30万円、加入月数が240月の方は513,000円

B. 平均標準報酬額50万円、加入月数が240月の方は657,720円

合計1,170,720円となります。

老齢基礎年金は全ての国民に対し支給されますので、保険料・年金額ともに定額となりますが、老齢厚生年金は給料によって保険料が異なり、年金額も加入期間と給料に応じた額となります。

老齢厚生年金の報酬比例部分には従前額保障という制度があります。

こちらは平成6年の水準で標準報酬を再評価し、年金額を計算する仕組みとなっており、先ほどのA.B.の計算式で算出した額と比べて、高い方が支給となります。

老齢厚生年金の報酬比例部分の従前額保障額の計算式は下記となります。

老齢厚生年金の報酬比例部分の従前額保障額=(C+D)×1.014

C. 平成15年3月以前の加入期間

・平均標準報酬月額×7.5/1000×平成15年3月までの加入期間の月数

D. 平成15年4月以降の加入期間

・平均標準報酬額×5.769/1000×平成15年4月以降の加入期間の月数

実際に計算してみましょう。

C. 平均標準報酬月額30万円、加入月数が240月の方は540,000円

D. 平均標準報酬額50万円、加入月数が240月の方は692,280円

(540,000円+692,280円)×1.014=1,249,532円

合計1,249,532円となります。

先程A.B.で計算した金額と比べ、高い方が支給されます。

A.B. 1,170,720円

C.D. 1,249,532円

C.D.が高いですので、老齢厚生年金の報酬比例部分の金額は従前額保障額の1,249,532円となります。

支給は老齢基礎年金と同じく、65歳から偶数月に前2カ月分が支給され、死亡するまで支給されます。

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