健康保険の埋葬料・埋葬費について詳細に解説します!

今回は従業員が亡くなった場合や、その家族が亡くなった場合の健康保険の給付、その手続きについてご説明させていただきます。

支給されるケース、支給されないケースもございますので、注意点等含めてご確認ください。

ぜひお読みください。

目次

埋葬料

  • 被保険者が業務外の事由により亡くなった場合、亡くなった被保険者により生計を維持されて、埋葬を行う方に「埋葬料」として5万円が支給されます。
  • 被扶養者が亡くなった場合は、被保険者に「家族埋葬料」として5万円が支給されます。
  • 「埋葬料」は、死亡の事実またはその確認があれば支給されるもので、埋葬を行ったことは要件とされていません。仮埋葬や 葬儀を行わない場合でも支給されます。
  • 被保険者により生計を維持されていた方であれば、被扶養者でなくても支給されます。

埋葬費

  • 故人に親族や生計をともにしていた方がおらず、埋葬料を受けられる方がいない場合は、実際に埋葬を行った方に、埋葬料(5万円)の範囲内で実際に埋葬に要した費用(※)が「埋葬費」として支給されます。
  • 被扶養者が亡くなったときは、被保険者に「家族埋葬料」として5万円が支給されます。
  • 「埋葬費」は、実際に埋葬を行った方に支給されるため、埋葬を行った事実が必要であり、埋葬を行った後でなければ埋葬費 を請求することはできません。
  • 「実際に埋葬に要した費用(※)」とは、霊柩車代、霊柩運搬代、霊前供物代、火葬料、僧侶の謝礼等が対象となります。

生計を維持されていた方とは

「生計を維持されていた方」とは、被保険者によって生計の全部又は一部を維持されている方であって、民法上の親族や遺族であることは問われません。また、被保険者が世帯主であるか、同一世帯であるかも問われません。

資格喪失後の埋葬料/埋葬費

  • 被保険者がその資格喪失後に亡くなり、次のいずれかに該当する場合は、埋葬料または埋葬費が支給されます。
  • 被保険者だった方が、資格喪失後3ヵ月以内に亡くなったとき
  • 被保険者だった方が、資格喪失後の傷病手当金または出産手当金の継続給付を受けている間に亡くなったとき
  • 被保険者だった方が、②の継続給付を受けなくなってから3ヵ月以内に亡くなったとき
  • 同じ埋葬に対して埋葬料(埋葬費)の支給は1回のみです。
  • 被保険者の資格喪失後に被扶養者だったご家族が亡くなっても、家族埋葬料(家族埋葬費)は支給されません。

【埋葬料・埋葬費の申請に必要な主な添付書類】

≪被保険者が亡くなり、被扶養者が申請する場合/被扶養者が亡くなり、被保険者が申請する場合≫

□事業主による死亡の証明

 上記証明が受けられない場合は、下記①~④のうちいずれか一つ

  • 埋葬許可証または火葬許可証のコピー
  • 死亡診断書、死体検案書または検視調書のコピー
  • 亡くなった方の戸籍(除籍)謄(抄)本
  • 住民票など 

≪被保険者が亡くなり、被扶養者以外の被保険者により生計維持されていた方が申請する場合≫

□住民票(住民票(亡くなった被保険者と申請者が記載されているもの)
□住居が別の場合は、定期的な仕送りの事実のわかる預貯金通 帳や現金書留のコピーまたは亡くなった被保険者が申請者の公共料金等を支払ったことがわかる領収書のコピーなど

≪被保険者が亡くなり、被保険者により生計を維持されていた方がいない場合で、実際に埋葬を行った方が申請する場合≫

□領収書(支払った方のフルネームおよび埋葬に要した費用額が記載されているもの)
□埋葬に要した費用の明細書(費用の内訳がわかるもの)

仕事中(通勤途中)に亡くなられた場合

労災保険からの給付が原則になります。

仕事中、通勤途中の病気やケガが 原因で亡くなった場合については、 原則、労災保険給付の対象となり、 健康保険給付の対象外となります。

労災保険給付の対象とならない場合は、健康保険の給付対象となります。

ただし、亡くなった方が法人の役員の場合については、健康保険の給付対象とならない場合があります。

申請期限について

・埋葬料/家族埋葬料…死亡年月日の翌日から2年
・埋葬費…埋葬年月日の翌日から2年

事故にあったとき(第三者行為による傷病届等について)

第三者行為による傷病とは

第三者によって起こされた病気や怪我のことを「第三者行為による傷病」と言います。

例えば、車を運転している時、対向車にぶつかられて怪我をしてしまった、この場合に負った怪我や病気が「第三者行為による傷病」に該当します。

第三者行為による傷病届等

交通事故や喧嘩など、第三者の行為による負傷で、健康保険で治療を受けたときには「第三者行為による傷病届」の提出が必要です。

「第三者」とは、法律的には「特定の案件・関係について、当事者ではないその他の関係者」のことを指します。

今回の「第三者行為による傷病届」は協会けんぽ(健康保険組合)に提出する書類です。

健康保険において、事業主や協会けんぽ(健保保険組合)、被保険者や被扶養者は「当事者」、その健康保険に関係のない人は「第三者」となります。

健康保険に関係のない「第三者」によって健康を害された場合、「第三者行為により怪我をした(病気になった)」といいます。

つまり、自動車同士の事故で怪我をしたときは、交通事故の相手(加害者)が「第三者」となるため、「第三者行為による傷病届」を提出する必要があります。

これによって、協会けんぽ(健康保険組合)は一旦被害者の医療費の7割を負担し、その後加害者側に医療費を請求(求償)できるようになります。

なお、通勤中や業務中の怪我の場合は健康保険ではなく労災保険を利用することになるため、この届出については、健康保険ではなく、労災に対する手続きとして行う必要があります。

交通事故による怪我の治療は自由診療によることが大原則ですが、健康保険を使って交通事故の怪我の治療を行う場合、「第三者行為による傷病届」の提出することで健康保険の金額で治療をすることができます。

提出期限は定められていませんが、出来るだけ速やかに提出します。(届出をしないまま健康保険を利用していると、立て替え分を請求され、健康保険からの給付を制限される可能性もあるので注意が必要です。)

提出書類の中には、加害者側の署名が必要な「誓約書(確約書・念書)」がありますが、健康保険を利用するのに加害者側の同意が必要ということではないため、「署名を拒否された」「連絡がつかなかった」などという理由を添えれば、誓約書がなくても申請することが可能です。

「第三者行為による傷病届」の提出ですが、以下の添付書類が必要になります。
(必要な書類やその名称は保険組合等によって異なる場合があります)

  • 負傷原因報告書
    負傷の原因について詳細を記載する書類です。日時や場所、何をしているときに負傷したかなどを細かく記入します。
  • 事故発生状況報告書
    交通事故の場合、どのような状況で事故が起こったのかを図などで説明する書類です。
  • 同意書(念書)
    負傷者(保険加入者)が署名する書類です。「自分が事故の相手方に有している損害賠償請求権を、保険者が保険給付の限度において取得することに同意する」という内容のものです。
  • 誓約書(確約書・念書)
    加害者側が署名する書類です。「今後保険者から求償されたら過失割合の範囲において納付します」という内容のものです。
    前述のとおり、相手によっては署名を拒否するかもしれませんが、その場合は「連絡がつかない」「署名がもらえなかった」などの理由を負傷者側で書くことになります。
  • 交通事故証明書(人身事故証明書入手不能理由書)
    事故後に警察に届け出をしていれば、各都道府県の交通安全運転センターで発行してもらえます。

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