算定基礎届で決定した標準報酬月額はいつ反映する!?詳細に解説します!

今回は、算定基礎届提出後の結果の取り扱いについてご説明させていただきます。

算定基礎届の結果は、新しい標準報酬月額として9月分の保険料から変更を行う必要があります。

ただし、社会保険の報酬月額変更届が発生した月によっては、月額変更届の結果を優先させる場合もあります。

従業員の給与に直接影響を与える問題ですので、正確な処理を行えるように準備しましょう。

  • 算定基礎届によって標準報酬月額を決定することを「定時決定」といいます。
  • 月額変更届によって標準報酬月額を改定することを「随時改定」といいます。
目次

算定基礎届の標準報酬月額

算定基礎届を届出すると、「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」が発行されます。

こちらの通知書には9月からの標準報酬月額が記載されております。

算定基礎届に記載した4月・5月・6月の給与の平均額が9月からの標準報酬月額となり、翌年8月までの標準報酬月額となります(途中で随時改定があると、標準報酬月額が変わります)。

毎年の算定基礎届によって、現在の給与に応じた標準報酬月額に更新される仕組みとなっています。

算定基礎届の結果の確認

まず、算定基礎届の結果である「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」が発行されたら、中身を確認しましょう。

届け出た算定基礎届の内容で決定されますので、算定基礎届の内容と1件1件照らし合わせる必要はありませんが、人数が合っているか、標準報酬月額が極端にズレていないかを確認しましょう。

特に健康保険の被保険者ではない70歳以上被用者該当者(75歳以上の方)については届け出が漏れやすいので、必ず確認を行いましょう。

算定基礎届の標準報酬月額の反映時期

算定基礎届により決定された標準報酬月額は、9月からの標準報酬月額となっております。

そのため、時期が来たら、新しい標準報酬月額を登録し、標準報酬月額に応じた社会保険料を徴収しなければなりません。

社会保険料徴収のタイミングによって、標準報酬月額を設定する月が異なります。

翌月徴収の会社
  • 保険料を翌月支給給与から控除
  • 10月支給給与計算時に設定(9月分保険料を10月支給給与から控除)
当月徴収の会社
  • 保険料を当月支給給与から控除
  • 9月支給給与計算時に設定(9月分保険料を9月支給給与から控除)

二以上事業所勤務者について

二以上事業所勤務者については、二以上事業所勤務者にかかる通知書が発行されます。

通知書に記載の保険料を徴収することになり、給与計算ソフトの設定は、他の方々とは異なる設定をして徴収を行いますので注意が必要です。

通常は標準報酬月額を選択すると保険料が自動的に設定されますが、二以上事業所勤務者は保険料が個別のものとなりますので、金額を手入力で設定することとなります。

また、二以上事業所の算定基礎届を基に算定されますので、決定までに時間がかかります。

対象者については事前にピックアップしておき、保険料の徴収までに結果を受領できるようにご準備ください。

まずは通知書が届いているかどうかの確認を行いましょう。

7月・8月・9月の月額変更の対象者について

定時決定(算定基礎)の標準報酬月額を設定する際に注意しなければならない事項として、随時改定(月額変更)があります。

随時改定が7月、8月、9月に生じた場合、随時改定を優先して、9月からの定時決定の標準報酬月額は適用しないルールとなっています。

7月、8月、9月に随時改定が生じた(または予定)場合

定時決定は行いません。

例.)8月に随時改定を予定している場合、算定基礎届には、8月随時改定と記載して届け出となり、その被保険者について定時決定は行われず、8月随時改定の標準報酬月額が翌年8月まで適用となります。

定時決定(算定基礎届の届け出)は行ったが、7月、8月、9月に随時改定が生じた場合

随時改定の標準報酬月額を適用し、定時決定の標準報酬月額は適用しません。

例.)算定基礎届を届け出し、定時決定が行われたが、9月随時改定に該当した場合、9月随時改定の標準報酬月額を翌年8月まで適用となります。

定時決定が優先される標準報酬月額は、あくまで7月、8月、9月の随時改定に限られます。

給与計算において保険料を徴収する際に、7月、8月、9月の随時改定が行われたかどうか、行われた場合は随時改定を優先して標準報酬月額を反映することとなりますので、ご注意ください。

ここで正しい標準報酬月額を登録しないと、最悪1年間誤った標準報酬月額で保険料が徴収されることになりますので、注意が必要です。

  • 7月・8月・9月の月額変更・・・定時決定は行わない
  • 定時決定の後に7月・8月・9月の月額変更・・・定時決定は適用せず7月・8月・9月の月額変更が適用される

退職者の保険料について

退職者が発生した際には控除する保険料に注意が必要です。

まず、保険料はその月の末日まで被保険者である方について発生します。

退職日が月の末日であれば退職日の属する月までの保険料を控除する必要があり、退職日が末日以外であれば、退職日の属する月の前月までの保険料を控除することになります。

翌月徴収の場合で給与が末日締め、翌月20日支給の場合

退職日が9月30日の場合、最終給与支給日は10月20日となります。

こちらの最終給与から控除する保険料の標準報酬月額は9月のもの(定時決定の標準報酬月額)を適用し、控除する必要がございます。

翌月徴収の場合で給与が末日締め、当月20日支給の場合

退職日が9月30日の場合、最終給与支給日は原則9月20日となります(残業代等の精算が翌月10月支給で無い場合とします)。

保険料は8月分・9月分の2か月分を控除となりますが、こちらの最終給与から控除する保険料の標準報酬月額は8月のもの(定時決定を反映する前のもの)、9月のもの(定時決定を反映したもの)を適用し、2か月分の保険料を控除する必要がございます。

この様に2か月分の保険料であっても、1か月分については異なる保険料の場合がありますので注意が必要です。

標準報酬月額を反映しましょう!

ほとんどの会社様は給与計算システムを使用して、給与計算を行っております。

給与計算システムに新しい標準報酬月額を正確に登録することで、正しい社会保険料の控除が行われます。

方法としては以下があるかと思います。

  1. 決定通知書を確認しながら給与計算システムに登録する。
  2. 決定通知書の標準報酬月額をExcel等に登録し、給与計算システムに読み込み等で登録する。
  3. 給与計算システムで算定基礎届を作成、9月、10月の給与計算時に算定基礎届の内容が自動で反映される。
  4. 社会保険手続きシステムで算定基礎届を作成、そのデータを給与計算システムで読み込む、または連携可能な給与システムであれば連携して反映を行う。

1.2.は手入力が必要となり、登録ミスが生じる可能性があるため、お勧めいたしません。

3.4.はシステムを利用した効率的な対応方法ですので、登録ミスが生じる可能性が非常に低く、作業時間的にもメリットがあります。
※反映された標準報酬月額が決定通知書と同じかどうか確認しましょう。

手入力をすればするほど、登録ミスの可能性は大きくなります。

社会保険料は従業員の給与に直接的にかかわってくる問題ですので、正確に処理を行うように3.4.のどちらかで行いましょう。

クラウド型の電子申請手続きシステム、クラウド型の給与計算システムを使用し、作業の効率化を行いましょう!

弊事務所では社会保険手続きはクラウド型電子申請システム「オフィスステーション(https://www.officestation.jp/)」、給与計算システムはマネーフォワードクラウド給与(https://biz.moneyforward.com/payroll/)を使用し、効率的かつ効果的な方法で処理を行っております。

できるだけ手入力を排除し、データで処理を行うことによって登録ミス等のリスクを限りなく低くすることが可能です。

クラウドシステムを使用することによって、さまざまなメリットがありますので、ぜひご検討ください。

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