健康保険の資格取得、扶養の認定条件について詳細に解説します!
今回は、健康保険の資格取得、扶養について解説致します。
加入要件や扶養の認定基準、また税法との扶養の要件の違い等について詳細に解説しています。
ぜひお読みください。
入社手続き
~健康保険資格取得届~
【手続き概要】
社会保険の加入要件を満たす従業員を採用した場合、事実発生日から5日以内に事業者が行います。
社会保険の加入要件は以下の通りです。
- 常時雇用されている従業員
- 週の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が常時雇用されている従業員の4分の3以上の従業員
上記の要件①②に当てはまらない場合でも、以下のア~オに該当すると、社会保険への加入が必要になります。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 2か月を超える雇用の見込みがある
- 月額賃金(所定)が8.8万以上
- 学生以外(定時制や夜学等を除く)
- 従業員(厚生年金の被保険者数)が101人以上(※)の事業所に勤めている
(※)令和6年10月からは、51名以上へ変更となります。
資格取得届は70歳以上で厚生年金の適用事業所に新たに使用される者で次の要件に該当する場合についても、届出が必要です。(70歳以上被用者該当届)
- 70歳以上の人
- 過去に厚生年金保険の被保険者期間を有する人
- 適用事業所、特定適用事業所、任意特定事業所に勤務していること
- 70歳未満であれば社会保険の被保険者となるような働き方をしている人
70歳以上被用者該当届の届出により、老齢厚生年金の全部または一部が支給停止となる場合があります。
70歳以上被用者期間は被保険者期間ではないため、健康保険料・厚生年金保険料は徴収されず、年金額計算の基礎にもなりません。
家族を扶養に入れるとき
~健康保険被扶養者異動届~
社会保険加入の従業員が被扶養者の追加、氏名変更があった場合、事実発生から5日以内に行います。
※後期高齢者医療制度の被保険者である人(75歳以上の人)は被扶養者になれません。
※所得税で「配偶者控除」や「扶養親族控除」の対象になる配偶者や扶養親族の条件と、健康保険上の「被扶養者」の条件とは全く条件が異なります。
税法上の扶養は、過去一年間の収入(年末にその年の1月から12月までについて判断する)の課税対象収入を振り返り判断しますが、健康保険の被扶養者は、今後将来に向かって収入がどうなるかで判断し、課税・非課税に関係なく、すべての総収入が基準の対象になりますので、税法上の扶養になっていても、健康保険の被扶養者の資格がない場合があります。
※日本国内に住所を有していない場合は、原則として被扶養者になれません。
国内居住要件については、住民基本台帳に住民登録されているかどうか(住民票があるかどうか)で判断し、住民票が日本国内にある方は原則、国内居住要件を満たすものとされます
【被扶養者の範囲(続柄確認)】
- 被保険者との同居が条件になっていない人
配偶者(内縁関係含む)
孫及び兄弟姉妹
父母、祖父母等の被保険者の直系尊属
2.被保険者と同居(同一世帯)していることが条件になる人
上記1.以外の三親等内の親族(伯父叔母、甥姪とその配偶者)
被保険者の内縁関係にある配偶者の父母および子
被保険者の内縁関係にある配偶者の死亡後の父母および子
保険者と養子縁組をしていない配偶者の子
【同居・別居の判断について】
・「世帯」とは、「住居」と「生計」をともにする社会生活上の単位であるとされています。つまり同一の世帯に属さないことは住居または生計のいずれかあるいはその両方が別であると考えられるため、住民票同一世帯(世帯主が1人)となっている場合のみ「同居」として扱われます。
・住民票が同一の住所表記であっても世帯分離(世帯主が複数)により世帯が別になっている場合は「別居」、住民票上で同一世帯に属していても生活の実態が別居であると確認された場合は「別居」として扱われます。
・「単身赴任」「子の通学別居」「入院」などの一時的な別居は同居扱いになります。
【被扶養者の認定基準(生計維持関係・収入要件)】
被扶養者として認定を受けるためには、収入の条件を満たしていることが必要です。
- 被保険者の収入によって、主として生計を維持していること
「主として」とは、家族の方の生計費の半分以上を、被保険者が日常・継続的に支援している実態をいいます。例えば、その家族の方が、被保険者と同居し、なおかつ年収の半分以下であっても、日常、被保険者からの支援がまったくないか、お小遣い程度でしたら、「主として生計を維持されている」とはいえませんので、被扶養者の資格はありません。
2.被保険者の収入の1/2未満であること
3.別居の場合、被保険者からの仕送り額より収入が少ないこと
※内容については【別居している家族の認定基準】を参照ください。
4.年間収入が、下記の認定基準額未満であること
・60歳未満の方…130万未満
・60歳以上の方又は障害年金受給の方…180万未満
※社会保険上の年間収入は、過去の収入のことではなく、被扶養者に該当する時点および認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいいます。(給与所得等の収入がある場合、月額108,333円以下、雇用保険等の受給者の場合、日額3,611円以下であれば要件を満たします。)この点が、過去1年間(その年の1~12月の累計)を年間収入としている税法上の取扱いと異なります。
※年間収入には、通勤手当(非課税)、雇用保険の失業給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金の収入も含みます。
【夫婦共働きの場合の子の扶養】
・夫婦ともに収入がある場合における被扶養者認定については、被扶養者の人数にかかわらず、年間収入の多い方の被扶養者となります。
・夫婦の年間収入の差額が年間収入の多い方の1割未満である場合は、主たる生計維持者の被扶養者とすることが出来ます。
【失業給付を受給する場合】
失業給付の受給期間中は「失業給付によって生活が保障されている」ため「主として被保険者が生計を維持している」とはみなされません。よって受給期間中は被扶養者として認定されません。ただし、待機期間や給付制限期間中は、失業給付を受給していないことから、被扶養者となることが出来ます。
また、失業給付の受給期間中であっても、失業給付の基本手当日額が下記の金額未満であれば、扶養に入ることが可能です。
60歳未満…日額3,612円未満
60歳以上または障害年金受給者…日額5,000円未満
【別居している家族の認定基準】
・主として被保険者の毎月の仕送りによって生活していること
・仕送り額は、被扶養者の収入より多いこと
・仕送りしていること、仕送りの金額が、証明出来ること
(銀行の通帳や振込控などで「振込人、振込先、振込日、振込金額」の証明が必要です)
別居している家族の被扶養者認定では、被保険者からの毎月の送金額の年間合計がその家族の年間収入以上であるかどうかを確認があります。そのため、手渡しではなく、送金額を確認できる金融機関から送金していることが必要です。
また、年1~2回の送金では、毎月の安定した生活費を支援しているとはいえませんので、生計維持関係がないと判断し、被扶養者にはなれません。
≪家族が扶養から外れるとき≫
被扶養者が、次の理由に該当した場合に削除の届出を行います。
(1)後期高齢者医療制度の被保険者になったとき(75歳到達)…削除日:75歳の誕生日
(2)被扶養者の年間収入が130万円以上(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円以上)見込まれるとき…削除日:事実が発生した日
(3)同居の場合、被扶養者の収入が被保険者の収入の半分以上になったとき、または別居の場合、被扶養者の収入が被保険者の仕送り額を超えたとき…削除日:事実が発生した日
(4)就職した時…削除日:就職年月日
(5)離婚した時…削除日:離婚年月日
(6)死亡した時…削除日:死亡日の翌日
(7)日本国内に住所を有しなくなったとき…削除日:事実が発生した日
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