労災保険の介護給付、遺族給付って? 詳細に説明します!
労災保険の給付についてより詳細にお話しさせていただきます。
今回は介護が必要になった場合の介護(補償)給付や、労働者が死亡した場合の遺族(補償)給付についてご説明致します。
わかりやすく説明しておりますので、ぜひお読みください。
介護(補償)給付
【給付の内容】
障害(補償)等年金または傷病(補償)等年金の受給者のうち、一定の障害を有している方が現に介護を受けている場合に支給がされます。
なお、障害の状態に応じて、常時介護を要する状態か、随時介護を要する状態かで区分がされます。
具体的な障害の状態とは、以下の状態をいいます。
常時介護
①精神神経・胸腹部臓器に障害を残し、常時介護を要する状態に該当する。
(障害等級第1級3・4号、傷病等級第1級1・2号)
②両眼が失明するとともに、障害または傷病等級第1級・第2級の障害を有する、もしくは、両上肢および両下肢が亡失又は用廃の状態にある、など、①と同等度の介護を要する状態である。
随時介護
①精神神経・胸腹部臓器に障害を残し、随時介護を要する状態に該当する。
(障害等級第2級2号の2・2号の3、傷病等級第2級1・2号)
②障害等級第1級または傷病等級第1級に該当し、常時介護を要する状態ではない。
<常時介護の場合> ※令和5年4月1日現在の額になります
<随時介護の場合> ※令和5年4月1日現在の額になります
月の途中から介護が開始された場合は、以下の取り扱いになります。
【手続き】
・様式第16号の2の2「介護補償給付 複数事業労働者介護給付 介護給付支給請求書」
・医師又は歯科医師の診断書(初回のみ)
※傷病(補償)等年金の受給者、障害等級第1級3号・4号又は第2級2号の2・2号の3に該当する方については、診断書の添付は不要です。
・介護に要した費用の額の証明書(介護の費用を支出している場合)
<提出先>
労働基準監督署
【時効】
介護を受けた月の翌月の1日から2年
遺族(補償)給付
【給付の内容】
業務又は通勤災害で死亡された労働者によって生計を維持されていた者で、以下の最先順位者に対して、遺族数などに応じて支給がされます。
被災労働者の収入によってもっぱら生計維持されていた場合だけではなく、生計の一部を維持していた「共稼ぎ」の場合も対象となります。
<受給権者の範囲>
- 妻または60歳以上か一定障害の夫(事実婚を含む)
- 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか一定障害の子
- 60歳以上か一定障害の父母
- 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか一定障害の孫
- 60歳以上か一定障害の祖父母
- 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか60歳以上または一定障害の兄弟姉妹
- 55歳以上60歳未満の夫
- 55歳以上60歳未満の父母
- 55歳以上60歳未満の祖父母
- 55歳以上60歳未満の兄弟姉妹
※一定障害とは、障害等級第5級以上の身体障害をいいます。
※55歳以上の夫、父母、祖父母、兄弟姉妹は、受給権者となっても、60歳になるまでは支給停止となります。
<受給権の失権・失格>
受給権は、受給権者が以下の状況に至った場合に失権し、次の順位の者に移行します。これを転給といいます。
- 死亡したとき
- 婚姻したとき(事実婚を含む)
- 直系血族または直系姻族以外の養子(事実上を含む)になったとき
- 離縁により、死亡労働者との親族関係が終了したとき
- 子、孫、または兄弟姉妹については、18歳に達した日以降の最初の3月31日が終了したとき(被災労働者の死亡当時から一定の障害がある場合は除く)
- 障害のため受給権を持っていた者が、障害状態でなくなったとき
遺族の数 | 遺族(補償)等年金 | 遺族特別年金 | 特別支給金 (一時金) |
1人 | 給付基礎日額の153日分(ただし、その遺族が55歳以上の妻または一定の障害状態にある妻の場合は給付基礎日額の175日分) | 算定基礎日額の153日分(ただし、その遺族が55歳以上の妻または一定の障害状態にある妻の場合は算定基礎日額の175日分) | 一律300万円 |
2人 | 給付基礎日額の201日分 | 算定基礎日額の201日分 | |
3人 | 給付基礎日額の223日分 | 算定基礎日額の223日分 | |
4人以上 | 給付基礎日額の245日分 | 算定基礎日額の245日分 |
※受給権者が2人以上いるときは、その額を、受給権者の数で等分した額となります。
【手続き】
~業務災害~
・様式第12号「遺族補償年金 複数事業労働者遺族年金支給請求書」
~通勤災害~
・様式第16号の8「遺族年金支給請求書」
・様式第16号の8(別紙)「通勤災害に関する事項」
このような場合に | 必要な書類 |
必ず添付するもの | 死亡診断書、死体検案書、検視調書またはそれらの記載事項証明書など、被災労働者の死亡の事実を確認することができる書類 |
戸籍謄本、抄本など、請求人と死亡した労働者との身分関係を証明することができる書類 | |
請求人および他の受給資格者が、被災労働者の収入によって生計を維持していた場合、その事実を証明する書類 | |
被災労働者と事実婚の状態にあったとき | その事実を証明する書類 |
請求人および他の受給資格者のうち、一定の障害の状態にあることにより受給資格者となっているとき | 被災労働者の死亡時から引き続き障害の状態にあることを証明することができる書類(診断書など) |
受給資格者のうち、請求人と生計を同じくしている者があるとき | その事実を証明する書類 |
妻が障害の状態にあるとき | 被災労働者の死亡の時以後、障害の状態にあったこと及びその障害が生じ、またはその事情がなくなった時を証明することができる書類 |
同一の事由により、遺族厚生年金、遺族基礎年金、寡婦年金等が支給される場合 | 支給額を証明することができる書類 |
<提出先>
労働基準監督署
【時効】
被災労働者が亡くなった日の翌日から5年
遺族(補償)一時金
【給付の内容】
労働者の死亡当時、遺族(補償)年金の受給資格者となる者がいない場合、もしくは遺族(補償)年金の受給権者が最後順位者まですべて失権したとき、受給権者であった遺族全員に対して支払われた年金の額及び遺族(補償)年金差額一時金の額の合計額が、給付基礎日額の1,000日分に満たない場合に、以下の遺族のうち、最先順位者に対して支給されます。
- 配偶者
- 労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子・父母・孫・祖父母
- その他の子・父母・孫・祖父母
- 兄弟姉妹
遺族(補償)一時金 | 遺族特別一時金 | 遺族特別 支給金 |
給付基礎日額の1,000日分 | 算定基礎日額の1,000日分 | 300万円 |
遺族(補償)年金の受給者となった者がすべて失権した場合で、それまでに支給された遺族特別年金の合計額が、給付基礎日額の1,000日分に満たないときは、給付基礎日額の1,000日分から、すでに支給された遺族(補償)年金等の合計額を差し引いた額 | 遺族(補償)年金の受給者となった者がすべて失権した場合で、それまでに支給された遺族特別年金の合計額が、給付基礎日額の1,000日分に満たないときは、算定基礎日額の1,000日分から、すでに支給された遺族特別年金の合計額を差し引いた額 | - |
【手続き】
~業務災害~
・様式第15号「遺族補償一時金 複数事業労働者遺族一時金支給請求書」
~通勤災害~
・様式第16号の9「遺族一時金支給請求書」
・様式第16号の9(別紙)「通勤災害に関する事項」
このような場合に | 必要な書類 |
被災労働者と事実婚の状態にあったとき | その事実を証明する書類 |
被災労働者の収入によって生計を維持していた場合 | その事実を証明する書類 |
被災労働者の死亡当時、遺族(補償)年金を受けることのできる遺族がいない場合 | 死亡診断書、死体検案書、検視調書またはそれらの記載事項証明書など、被災労働者の死亡の事実を確認することができる書類戸籍謄本、抄本など、請求人と死亡した労働者との身分関係を証明することができる書類 |
遺族(補償)年金の受給権者が最後順位者まで全て失権した場合で、遺族全員に支払われた年金の額及び遺族(補償)年金前払一時金の額の合計額が、給付基礎日額の1,000日分に満たない場合 | 上記②の書類 |
<提出先>
労働基準監督署
【時効】
被災労働者が亡くなった日の翌日から5年
遺族(補償)年金前払一時金
【給付の内容】
遺族(補償)年金を受給する遺族が、1回に限り、前払いを受けることができます。
前払一時金の額は、給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分、1,000日分の中から、希望の額を選択することができます。
※被災労働者が亡くなった日の翌日から2年以内で、遺族(補償)年金の支給決定の通知があった日の翌日から1年以内であれば、遺族(補償)年金を受けた後でも請求をすることができます。
【手続き】
・年金申請様式第1号「遺族補償年金 複数事業労働者遺族年金 遺族年金前払一時金請求書」
<提出先>
労働基準監督署
【時効】
被災労働者が亡くなった日の翌日から2年
葬祭料/葬祭給付
【給付の内容】
葬祭を行った者に対して、315,000円に給付基礎日額の30日分を加えた額が支給されます。
この額が給付基礎日額の60日分に満たない場合は、給付基礎日額の60日分が支給されます。
【手続き】
~業務災害~
・様式第16号「葬祭料 複数事業労働者葬祭給付請求書」
・死亡診断書、死体検案書など、被災労働者の死亡の事実、死亡年月日が確認できる書類
※遺族(補償)給付の請求書を提出する際に添付する場合は不要です。
~通勤災害~
・様式第16号の10「葬祭給付請求書」
・死亡診断書、死体検案書など、被災労働者の死亡の事実、死亡年月日が確認できる書類
※遺族(補償)給付の請求書を提出する際に添付する場合は不要です。
<提出先>
労働基準監督署
【時効】
被災労働者が亡くなった日の翌日から2年
オフィスステーションを使用し、手続きを効率化しましょう!
弊事務所では、オフィスステーション(https://www.officestation.jp/)を使用し、手続業務の効率化を行っております。
労災保険に関する申請業務は電子申請が行えませんが、書類についてはオフィスステーションを利用し作成しております。
手書きで書類を作成しようとすると、多くの時間がかかりますが、電子的に書類を作成すると、時間的メリットがあり、修正もとても簡単ですので、ぜひご検討ください。