労働保険の成立・変更手続きについて

今回は労働保険の成立・変更手続きについてご説明させていただきます。

発生した内容によって、提出書類も変わってきますので、ぜひお読みください。

目次

事業を開始した時の手続き

適用事業とは

労働者を一人でも雇用している事業所については、労働保険の適用事業となります。

この場合、労働保険の成立届の手続きが必要となります。

また、成立届と合わせて、年度末(3月)までの概算保険料を申告、納付する必要があります。

暫定任意適用事業

農林水産の事業のうち、常時使用労働者数が5人未満の個人経営の事業をいいます。

ただし、労災保険では、農業に限り、事業主が特別加入をする場合には、常時使用労働者数が5人未満であっても適用事業となります。

一元適用事業とは

労災保険と雇用保険を一つの保険関係として取り扱い、労働保険料の申告、納付を両保険一本で行う事業のことをいいます。

二元適用事業とは

労災保険と雇用保険の保険関係を別で取り扱い、労働保険料の申告、納付を別々に行う以下の事業のことをいいます。

  • 都道府県および市町村が行う事業
  • 都道府県に準ずるものおよび市町村に準ずるものの行う事業
  • 港湾運送の行為を行う事業
  • 農林、水産の事業
  • 建設の事業

提出書類

  • 労働保険保険関係成立届
  • 労働保険概算保険料申告書

※労働保険の手続きが完了後、ハローワークに「雇用保険適用事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する必要があります。雇用保険適用事業所設置届には、労働保険の成立届の控えを添付します。

提出先

管轄の労働基準監督署

提出期限

<保険関係成立届>

保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内

<概算保険料申告書>

保険関係が成立した日の翌日から起算して50日以内

成立届の手続きを怠った場合

遡って労働保険料を納めるほか、追徴金を徴収されることになります。

また、故意または重大な過失によって成立届を出していない間に労災があった場合、労災保険給付に要した費用の全部または一部を徴収されることとなります。

~費用徴収の具体例~

労災保険の成立手続きについて行政から指導を受けたにもかかわらず、手続きを行わない期間に労災が発生した場合

事業主が「故意」に手続きを怠ったとして、労災に関して支給された保険給付額の100%を徴収します。

労災保険の成立手続きについて行政から指導を受けていないものの、労災の適用事業となった時から1年を経過しても手続きが行われていない期間に労災が発生した場合

事業主が「重大な過失」により手続きを怠ったとして、労災に関して支給された保険給付額の40%を徴収します。

支店や営業所の取り扱い

労働保険の保険関係は事業場ごとに適用されますので、本社とは別に支店や営業所などがある場合、支店ごとに成立届の提出が必要です。

この場合、事務処理の簡素化のため、一定の要件に該当すれば、支店等の労働保険料の申告納付をまとめて行うことができます。

まとめて申告納付を行う事業を指定事業といい、まとめられた支店等を被一括事業といいます。

継続事業の一括認可の手続きが完了すると、労働局より「継続事業一括認可等通知書」が送付され、被一括事業には一つずつ整理番号が付与されます。

整理番号は被一括事業の今後の手続きに必要となりますので、保管をお願いいたします。

<継続事業の一括承認要件>

  1. 指定事業と被一括事業の事業主が同一であること。
  2. それぞれの事業が、継続事業(事業の期間が予定されている建設の事業、林業等以外の事業)で保険関係が成立していること。
  3. それぞれの事業が、「労災保険率表」による「事業の種類」が同じであること。
    (※業種コードの上2桁が同じであれば、事業の種類が同じとなります)
  4. それぞれの事業が、保険関係区分(※1)が同一であること。

    ※1 それぞれの事業が次のいずれか1つのみに該当するものであること
    ・一元適用事業であって、労災保険および雇用保険の両保険が成立しているもの
    ・二元適用事業のうち、労災保険が成立している事業
    ・二元適用事業のうち、雇用保険が成立している事業

提出書類

  • 労働保険継続事業一括(認可・追加・取消)申請書

提出先

指定事業の管轄の労働基準監督署

提出期限

特になし

認可の取消しがあった場合

提出書類

  • 労働保険継続事業一括(認可・追加・取消)申請書

提出先

指定事業の管轄の労働基準監督署

提出期限

特になし

指定事業の名称、所在地、事業の種類に変更があった場合

提出書類

  • 労働保険名称、所在地変更届

※労働保険の手続きが完了後、ハローワークに「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出する必要があります。「雇用保険事業主事業所各種変更届」には労働保険名称、所在地変更届の控えを添付します。

※法人の代表者変更は、労働保険と雇用保険の届出は不要です。

提出先

管轄の労働基準監督署

提出期限

変更があった日の翌日から起算して10日以内

被一括事業所の名称、所在地に変更があった場合

提出書類

  • 労働保険継続被一括事業名称、所在地変更届

提出先

指定事業の管轄の労働基準監督署

提出期限

遅滞なく

事業を廃止、休止したとき

提出書類

  • 労働保険確定保険料申告書

※労働保険の手続きが完了後、ハローワークに「雇用保険適用事業所廃止届」と「雇用保険被保険者資格喪失届および雇用保険被保険者離職証明書」を提出する必要があります。

提出先

管轄の労働基準監督署もしくは管轄の労働局

提出期限

事業を廃止した日から50日以内

支店や営業所が廃止、閉鎖になった

提出書類

  • 労働保険継続事業一括(認可・追加・取消)申請書

提出先

指定事業の管轄の労働基準監督署

指定事業の変更(労働保険事務組合加入→個別加入へ変更)

指定事業が、事務組合加入から個別加入へ変更した場合、事務組合加入の時に、被一括事業であった事業所を、個別加入の新しい指定事業の被一括事業所として、変更をすることができます。

提出書類

  • 労働保険継続事業一括変更申請書/継続被一括事業名称・所在地変更届

※「9.指定事業の移転」を選択します。

提出先

指定事業の管轄の労働基準監督署

指定事業の変更(会社が合併した場合)

合併等で指定事業Aが指定事業Bを吸収する場合、指定事業Bと指定事業Bの被一括事業所を、Aの被一括事業所に変更をすることができます。なお、合併の際はケースバイケースとなりますので、手続きの際は、管轄の監督署に詳細をご確認下さい。

提出書類

  • 労働保険継続事業一括変更申請書/継続被一括事業名称・所在地変更届

※「7.指定事業を同一局の別事業に変更」を選択します。
※認可の通知が届いたら、被一括事業所の名称等を必要に応じて変更します。
※Bの保険関係は消滅しますので、確定保険料申告書を提出し、労働保険料を納付もしくは還付請求(既に納めていた分が確定保険料より多い場合)を行います。

提出先

指定事業Aの管轄の労働基準監督署

指定事業と被一括事業を入れ替える場合(管轄をまたがない場合)

指定事業を入れ替えた結果、管轄する労働基準監督署が変更されない場合は以下の届出になります。

提出書類

  • 労働保険継続事業一括変更申請書/継続被一括事業名称・所在地変更届

※「6.指定事業を同一局の被一括事業に変更」を選択します。
※「新たに指定事業となる事業の整理番号」の箇所に、新指定事業となる被一括事業の整理番号を記載します。

提出先

指定事業の管轄の労働基準監督署

指定事業と被一括事業を入れ替える場合(管轄をまたぐ場合)

指定事業を入れ替えた結果、管轄する労働基準監督署が変更される場合は以下の届出になります。

提出書類

  • 労働保険名称、所在地変更届
    (※指定事業と被一括事業のA事業所を入れ替える場合、指定事業の名称、所在地等変更届)
  • 労働保険継続被一括事業名称、所在地変更届
    (※指定事業と被一括事業のA事業所を入れ替える場合、A事業所の名称、所在地変更届)

提出先

新指定事業の管轄の労働基準監督署

継続一括されている事業所(被一括事業)を確認したい場合

継続一括されている事業所が分からない、被一括事業の登録内容を確認したい等の場合は、被一括事業の登録内容を照会することができます。

提出書類

  • 労働保険継続事業一括認可等確認照会票

提出先

指定事業の管轄の労働基準監督署

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