育児休業給付金ってなに?出生時育児休業給付金の制度と申請方法を詳細に説明いたします!

今回は雇用保険の育児休業給付についてご説明させていただきます。

育児休業期間中にどのような給付を受けることが可能なのか、受給要件等を詳細に解説します。

この記事では、出生時育児休業給付金の話をメインにさせていただきます。

ぜひお読みください。

目次

育児休業給付とは

雇用保険の被保険者が育児休業を取得した場合、一定の要件を満たすと受けることができる給付として、「出生時育児休業給付金」と「育児休業給付金」があります。
(※令和7年4月1日からは、両親ともに育児休業を取得した場合に支給する「出生後休業支援給付金」及び2歳未満の子を養育するために時短勤務を行った場合に支給する「育児時短就業給付金」が創設されます。)

それぞれの簡単な違いについては、以下の通りとなります。

 出生時育児休業給付金 (産後パパ育休)育児休業給付金
対象原則、男性男性、女性
取得期間子の出生後8週間以内に4週間(28日)まで原則、子が1歳に達するまで
分割取得2回までの分割取得可2回までの分割取得可
育児休業中の 就労可能 (労使協定を締結した場合に限る)原則として不可

このため、男性が28日を超えて育児休業を取得する場合、出生時育児休業給付金を受給した後、育児休業給付金を受給するか、あるいは、育児休業中に就労の予定がないのであれば、最初から通常の育児休業給付金を受給するか、どちらかになります。

出生時育児休業も育児休業も、どちらも2回まで分割取得が可能ですので、育児休業の取得スケジュールに合わせて、ご検討いただければと思います。

出生時育児休業給付金の詳細については、以下の通りです。

出生時育児休業給付金

<支給要件>

  • 子の出生後8週間の期間内に合計4週間分(28日)を限度として、出生時育児休業(産後パパ育休)を取得した被保険者であること(2回まで分割取得ができます)
    ※男性が出生時育児休業を取得する場合、配偶者の出産予定日または子の出生日のいずれか早い方から出生時育児休業給付金の対象となります。
  • 休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上(11日ない場合は賃金支払いの基礎となった時間数が80時間以上)の完全月が12ヵ月以上あること。
    ※疾病、負傷等で引き続き30日以上賃金の支払いを受けることができない期間があった場合、その期間を2年に加算することができます(合計で最長4年間)。
  • 休業期間中の就業日数が、最大10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間)以下であること。
    ※28日間の休業をした場合は最大10日以下ですが、休業期間が28日より短い場合は、その日数に比例して短くなります。

例:

14日間の休業の場合・・・最大5日(5日を超える場合は40時間)以下
10日間の休業の場合・・・最大4日(4日を超える場合は約28.57時間)以下
⇒10日×10/28≒3.57→4日以下(端数切り上げ)
⇒80時間×10/28≒28.57→28.57時間以下(端数処理なし)

28日間の出生時育児休業期間中に、14日間(1日8時間)就業した場合
⇒就業日数が最大10日を超え、就業時間も80時間を超えますので、出生時育児休業給付金は不支給となります。

出生時育児休業を10日取得し、そのうち6日間部分就業をした場合
⇒上記より、10日間休業の場合は最大4日(4日を超える場合は約28.57時間)以下の就業である必要があります。このため、6日間部分就業をした時間が28.57時間以下であれば、出生時育児休業給付金は支給されます。

  • 子の出生日(※)から起算して、8週間を経過する日の翌日から6ヵ月を経過する日までに、その労働契約の期間が満了することが明らかでないこと。(期間を定めて雇用される方の場合)
    ※出産予定日前に子が出生した場合は出産予定日
    ※労働契約が更新される場合は更新後のもの

<支給申請期間>

子の出生日(出産予定日前に子が出生した場合は出産予定日)から起算して、8週間を経過する日の翌日から申請が可能となり、当該日から起算して、2ヵ月を経過する日の属する月の末日までに提出します。
※出生日と出産予定日の、どちらか遅い方から8週間経過後の申請になります。
※2回に分割して取得した場合でも、申請は1回でまとめて行います。

<支給額>

支給額=休業開始時賃金日額×休業期間の日数(28日が上限)×67%

~出生時育児休業期間を対象として事業主から賃金が支払われた場合~

支払われた賃金の額支給額
休業開始時賃金日額×休業期間の日数の13%以下休業開始時賃金日額×休業期間の日数×67%
休業開始時賃金日額×休業期間の日数の13%超~80%未満休業開始時賃金日額×休業期間の日数×80%-賃金額
休業開始時賃金日額×休業期間の日数の80%以上支給されません

「出生時育児休業期間を対象として事業主から賃金が支払われた場合」とは、出生時育児休業期間を含む賃金月分として支払われた賃金のうち、以下の額をいいます。(※育児休業給付金とは取り扱いが異なります)

出生時育児休業期間に就労等した日数、時間に応じて支払われた額

⇒就労した場合の賃金のほか、出生時育児休業期間に応じて支払われる手当等を含みます。(通勤手当、家族手当、資格等に応じた手当等が、就労等した日数・時間にかかわらず一定額が支払われている場合は含みません。)

就業規則等で月給制等となっており、出生時育児休業期間を対象とした日数、時間が特定できない場合は、日割り計算をして得られた額(小数点以下切り捨て)

⇒「支払われた賃金額」×(「出生時育児休業取得日数」÷「出生時育児休業期間を含む賃金月の賃金支払対象期間の日数」)

休業開始時賃金日額の上限額

上限額は15,690円となります。
(※令和7年7月31日までの額。毎年8月1日に変更になります。)

上限額で28日休業した場合の出生時育児休業給付金の支給額
⇒15,690円×28日×67%=294,344円(支給上限額)

<申請手続き>

【提出書類】

  • 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
  • 育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書

【添付書類】

  • 賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、タイムカード、育児休業申出書、育児休業取扱通知書など(※出生時育児休業を開始、終了した日、賃金の額と支払状況を証明できるもの)
  • 母子健康手帳(出生届出済証明のページと分娩予定日が記載されたページ)、医師の診断書(分娩(出産)予定日証明書)など(※育児の事実、出産予定日および出生日を確認することができるもの)

【提出先】

事業所の所在地を管轄するハローワーク

【提出時期】

子の出生日(出産予定日前に子が出生した場合は出産予定日)から起算して8週間を経過する日の翌日から申請可能となり、当該日から起算して2ヵ月を経過する日の属する月の末日が提出期限となります。
※出生日と出産予定日の、どちらか遅い方から8週間経過後の申請になります
※2回に分割して取得した場合でも、申請は1回でまとめて行います。
※休業期間を対象とする賃金がある場合、当該賃金が支払われた後の提出となります。

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