柔道整復師(整骨院・接骨院)にかかったときの健康保険の取り扱いについて、詳細に解説します!
今回は柔道整復師にかかる場合についてご説明させていただきます。
健康保険の対象になる場合、ならない場合等、詳しく説明致します。
ぜひお読みください。
整骨院・接骨院とは
「接骨院」と「整骨院」、どちらも柔道整復師が開業・運営している院を指します。
したがって施術内容や健康保険の取り扱いも全く同じです。
接骨院・整骨院と整形外科の最も大きな違いは、医師がいるかどうかになります。
整骨院・接骨院では受けられない医療行為
- 薬の投与
- 外科手術
- X線(レントゲン)検査
- MRIやCTなどの画像診断検査
- 出血を伴う傷の治療など
健康保険の対象となる場合
- 急性などの外傷性の打撲・捻挫・および挫傷(肉離れなど)・骨折・脱臼
※骨折・脱臼については医師の同意が必要です(応急処置を除く)
整骨院や接骨院の看板やホームページなどに、「各種保険取扱」や「健康保険が使えます」などと表示されていることがあります。
一見すると、整骨院・接骨院で行われるすべての施術に健康保険が使えるように思えますが、そうではありません。
健康保険が使えるのは、打撲・ねんざ・挫傷(肉離れなど)・骨折・脱臼などの負傷原因がはっきりしている外傷性の負傷のみになります。
このうち、骨折・脱臼は、あらかじめ医師の同意を得ていなければ、応急処置以外の施術は健康保険では受けることができません。
捻挫には、足首などの負傷の他に「ぎっくり腰(急性腰痛症)」も含まれます。
そのため、ぎっくり腰になって間もない段階なら、接骨院や整骨院で保険を使って施術を受けることができます。
ただし、「施術が3ヶ月以上続く」「一度に4部位以上施術する」場合には、接骨院・整骨院は保険者に対して明確な理由を書面で提出する必要があります。
したがって保険者の判断によっては、健康保険を使った施術を続けられなくなる場合もあります。
はり、きゅう、マッサージの場合も健康保険を使うことが出来ますが、あらかじめ医師の発行した同意書または診断書が必要になります。
また、医療機関(※)とはしご受診をしていると健康保険は適用されませんのでご注意ください。
※医師からの処方薬やシップも診療行為となり、併用するとはしご受診になります。
健康保険の対象とならない場合
- 単なる肩こり、筋肉疲労
- 慰安目的のあん摩・マッサージ代わりの利用
- 病気(神経痛・リウマチ・五十肩・関節炎・ヘルニアなど)からくる痛み・こり
- 脳疾患後遺症などの慢性病
- 過去の交通事故等による後遺症
- 症状の改善の見られない長期の治療
- 医師の同意のない骨折や脱臼の治療(応急処置を除く)
- 仕事中や通勤途上におきた負傷※労災保険扱い
日常生活により生じる単なる肩こりや筋肉疲労、内科的な原因による病気に対する施術などでは健康保険が使えないため「全額自己負担」となります。
もちろん、慰安目的のマッサージ、骨盤矯正・姿勢改善の施術にも保険は使うことができません。
また、仕事中の怪我や通勤中に負った怪我については労災保険扱いとなり、健康保険との併用はできないので注意が必要です。
思わぬ出費とならないよう、施術を受ける前に、健康保険が適用されるかどうかを必ず確認しておきましょう。
健康保険でかかった時のポイント
柔道整復師に健康保険でかかれる施術を受けた場合は、患者が会計時に自己負担額を支払い、柔道整復師が患者に代わって残りの費用を保険者(協会けんぽや健康保険組合)に請求する「受領委任」という制度が認められています。
そのため、整骨院・接骨院にかかるときは、下記のポイントを守ることが大切になります。
- 施術前に負傷原因を正確に伝える
いつ・どこで・何をしているときに負傷したのか、どんな症状があるのかを正確に伝えましょう。外傷性の負傷でない場合や、通勤中や勤務中の負傷など「労働災害」に該当する場合は健康保険を使うことができません。また、交通事故等の第三者行為による負傷で健康保険を使って施術を受ける場合は、保険者(協会けんぽや健康保険組合)に連絡してください。
- 施術の内容をしっかりチェックする
施術を受けたときは、患者が希望すれば、施術内容や金額の内訳が記載された「明細書」が発行されます(明細書は有料の場合があります)。記載されている施術内容をしっかりチェックし、間違いがあれば、きちんと整骨院・接骨院へ伝えましょう。
- 同時期に整形外科での治療の併用はしない
同時期に同じ症状で整形外科での治療を併用した場合、基本的に接骨院での健康保険は適用されないので注意しましょう。(同じ月内に、複数の接骨院・整骨院で同一症状にて保険診療を受けることも認められていません)ただし、骨折後の治療の後など、医師から指示があった場合は例外があります。また、交通事故に遭った後の治療でも例外はあるので、詳しくは保険者(協会けんぽ・健康保険組合)へ確認してください。
- 「療養費支給申請書」は自分で署名する
『療養費支給申請書』は、受療者が柔道整復師に委任をし、本人に代わって治療費を「健康保険組合」に請求して支払いを受けるために必要な書類です。委任欄に記入する場合は、負傷内容、施術内容、通院回数、支払い額をよく確認しましょう。白紙の用紙にサインをしたり、印鑑を渡してしまうのは、間違いにつながる恐れがありますので注意してください。
- 領収証は必ずもらって保管する
整骨院・接骨院では以下の内容を記載した領収証の発行が義務づけられています。
- 被保険者(患者)の氏名
- 施術した日時
- 施術の合計金額
- 各種金額の内訳
- 施術所の住所
- 施術管理者の名前と印鑑
領収証は医療費控除の対象にもなるので、必ずもらって保管しておきましょう。保険者(協会けんぽ・健康保険組合)より「医療費のお知らせ」が届いたら、領収証の内容が合っているかを確認し、万が一、合っていなかった場合は保険者(協会けんぽ・健康保険組合)に連絡してください。また、領収書は再発行されないので、紛失しないように十分注意しましょう。
- 治療が長引く場合は病院で医師の診断をうける
長期間治療を受けても快方に向かわない場合は、内科的要因も考えられます。病院で医師の診断を受けることをおすすめします。
- 「受領内容回答書」には忘れずに対応する
柔道整復師の請求の中には、健康保険の対象とならない治療の請求や不適切な請求も一部あるようです。適正な支払いに調査が必要と判断される場合には、保険者(協会けんぽ・健康保険組合)より電話または文書で、負傷原因、治療年月日、治療内容などを照会されることもあります。そのため、受診の記録(負傷部位・治療日・治療内容など)、領収証の保管をしていただき、照会があった時はご自身で回答書に記入し、忘れずに対応するようにしましょう。
次の事例のいずれかに該当する場合、受領委任の取扱いから償還払いへ変更となる場合があります
「償還払いへの変更の対象となる事例」のいずれかに該当し、柔道整復の施術の必要性を個々に確認する必要があると考えられる場合は、受領委任の取扱い(※1)を中止し、償還払い(※2)に変更となる場合があります。
[償還払いへの変更の対象となる事例]
- 自己施術(柔道整復師による自身に対する施術)に係る療養費の請求が行われた柔道整復師である患者
- 自家施術(柔道整復師による家族に対する施術、柔道整復師による関連施術所の開設者及び従業員に対する施術)を繰り返し受けている患者
- 保険者が、患者に対する施術の内容及び回数等の照会を適切な時期に患者に分かりやすい照会内容で繰り返し行っても、回答しない患者
- 複数の施術所において同部位の施術を重複して受けている患者
※1 受領委任の取扱い:患者は施術所に施術料金の一部を支払い、残りの費用について施術管理者に受領の委任を行い、施術管理者から保険者等に請求を行う取扱い
※2 償還払い:患者は施術所に施術料金の全額を支払い、患者が保険者等に療養費を請求する取扱い
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