雇用保険における離職理由の基礎知識 特定理由離職者・高齢者給付金・不正受給について解説します!
今回は雇用保険の離職理由についてご説明させていただきます。
特定理由離職者に該当する要件や、65歳以上の失業給付、不正受給等についても説明しています。
最後にQ&Aもまとめてありますので、ぜひお読みください。
特定理由離職者とは
特定理由離職者とは、以下に該当する方をいいます。
- 期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)なお、以下の場合を除きます。
- 期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者
- 期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者
- 以下の正当な理由のある自己都合により離職した者
- 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、触覚の減退等により離職した者
- 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者
- 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合、または常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者
- 配偶者または扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者
- 次の理由により、通勤不可能または困難となったことにより離職した者
・結婚に伴う住所の変更
・育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用または親族等への保育の依頼
・事業所の通勤困難な地への移転
・自己の意思に反しての住所または居所の移転を余儀なくされたこと
・鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止または運行時間の変更等
・事業主の命による転勤または出向に伴う別居の回避
・配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向または配偶者の再就職に伴う別居の回避 - その他、事業主からの退職勧奨(特定受給資格者)に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等
特定理由離職者の1(雇止め)に該当する場合
給付日数・・・退職日が2025年3月31日までにある場合、特定受給資格者と同じ給付日数
待期期間・・・7日間あり
給付制限期間・・・なし
特定理由離職者の2(正当な理由のある自己都合退職)に該当する場合
給付日数・・・一般受給資格者と同じ給付日数
待期期間・・・7日間あり
給付制限期間・・・なし
※特定理由離職者の2に該当するかどうかは、ハローワークに求職の申し込みをした際に決定がされます。
65歳以上の基本手当について
65歳の誕生日の前日以降に退職して失業した場合、支給される手当は「高年齢求職者給付金」という一時金になります。(65歳の誕生日の前々日までに退職して失業した場合は「基本手当」の支給になります。)
<高年齢求職者給付金の支給日数>
被保険者であった日数 | 1年未満 | 1年以上 |
支給日数 | 30日分 | 50日分 |
<高年齢求職者給付金の対象となる方>
受給要件は、以下のいずれにも該当する方です。
- 離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6ヵ月以上(※1)あること
- 失業の状態(※2)にあること。
※1 雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日から1ヵ月ごとに区切っていた期間に、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上、または賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上ある月を1ヵ月と計算します。
※2 離職し、就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるにもかかわらず、職業に就けず、積極的に求職活動を行っている状態。
<待期期間>
求職の申し込みを行った日から7日間の待期期間があります。
<給付制限期間>
7日間の待期期間が経過した後、自己都合で退職した場合は2ヵ月(重責解雇の場合は3ヵ月)の給付制限期間があります。
<受給期間>
離職日の翌日から1年になります。求職の申し込みが遅れた場合、受給期限が過ぎた分は支給されません。
離職理由について
離職票-2の右側に離職区分(1A、1B、2A、2B・・・など)がありますが、離職理由によって、離職区分が決定され、それによって給付制限の有無や給付日数が異なります。
倒産や解雇などによる離職(特定受給資格者)や、雇止めなどで離職(特定理由離職者)した方については、国民健康保険料(税)の軽減措置が受けられる可能性があります。
ハローワークで失業給付の申し込みをしたあと、雇用保険受給資格者証の離職理由が、11,12,21,22,23,31,32,33,34と記載がある方が対象となります。
詳細につきましては、お住まいの市区町村にお尋ねください。
離職票の離職理由に異議がある場合
ハローワークへ求職の申し込みに行った際、離職理由に異議があると、ハローワークから事業主へ離職理由の確認が入ります。
この時、事業主と離職者の双方の意見を聞いて、ハローワークが判断をすることになります。
不正受給について
虚偽の申告等で基本手当を不正受給した方については、3倍返し(不正に受給した分の返還、及び不正に受けた金額の2倍の納付)の処分になることがあります。
また、これらの支払いを怠った場合、財産差し押さえが行われる場合があります。
また、詐欺罪で処罰される場合もありますので、ご注意ください。
例えば、失業給付を受給している時に、内職、アルバイト等を行った際、申告を怠ると不正受給となります。
Q&A
- 離職票は必ず発行しなければいけないのか
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次の転職先が既に決まっている等、本人が発行を希望しないのであれば発行は不要ですが、本人が希望しない場合を除いて、基本的には離職票の発行は必要です。離職票交付なしで資格喪失届を提出していた場合でも、後日、離職票の発行の希望があった場合は、「雇用保険被保険者資格喪失届提出後の離職票交付の申請」を行えば、離職票の発行をすることができます。
- 週の所定労働時間が20時間未満となった場合も離職票は発行できるのか
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発行できます。週20時間以上の仕事を別に探す求職活動をするのであれば、週20時間未満のアルバイトをしたままでも、失業給付の受給をすることができます。ただし、アルバイトについてハローワークに申告が必要ということと、アルバイトの給与に応じて、失業給付は減額になる可能性がありますので、ご注意ください。また、資格喪失手続きの際、週20時間未満となった理由が、会社都合なのか、自己都合なのかを記載する必要がありますので、離職理由は「所定労働時間が週20時間未満となったため(自己都合)」もしくは、「所定労働時間が週20時間未満となったため(会社都合)」と記載してください。
- 在籍期間が短くても離職票を発行する必要があるか
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在籍期間の長短にかかわらず、受給資格の有無にかかわらず、発行する必要があります。前職の離職日から再就職日まで1年以内であって、前職の離職にかかる受給資格に基づいて、基本手当(失業給付)を受給していない場合は、前職の雇用保険被保険者期間も通算をすることができます。
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離職票を作成する場合、毎月の賃金データを前もってシステムに登録しておくことにより、賃金データ入力の作業の必要がなくなります。
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