社会保険・労働保険の電子申請義務化と今後の対応ポイントは?電子申請を行うことによるメリットを説明します!

今回は令和2年4月から一部の大企業を対象に始まった社会保険手続きの電子申請義務化についてお話しさせていただきます。

施行から5年経過となりましたが、電子申請を導入されていない企業様も多くいらっしゃいます。

本記事では、電子申請義務化の概要から実際に申請できる手続き、さらには義務化対象外の企業様にも電子申請をおすすめする理由をご案内いたします。

目次

電子申請義務化の概要と目的

電子申請義務化の概要

対象企業

令和2年4月以降に開始される各事業年度から、以下に該当する特定の法人は、社会保険・労働保険に関する一部の手続きを電子申請で行うことが義務付けられています。

対象となる法人
  • 資本金または出資金が1億円を超える法人
  • 相互会社(保険業法に基づく)
  • 投資法人(投資信託及び投資法人に関する法律に基づく)
  • 特定目的会社(資産の流動化に関する法律に基づく)

これらの企業では、該当する手続きについて、原則として窓口や郵送での提出ができず、電子申請が必須となります。

電子申請義務化の目的

この制度は、政府全体で推進している行政手続きのデジタル化の一環として導入されました。

主な目的は以下の3点です。

  • 行政手続きにかかる事業者の作業時間、いわゆる「行政手続きコスト」の削減です。書類作成や窓口への移動、待ち時間など、企業が負担する時間的・金銭的コストを軽減することを目指しています。
  • 行政側の事務処理の効率化です。紙の書類の受付、チェック、データ入力といった作業を削減し、より正確で迅速な処理を実現します。
  • データの利活用促進です。電子化されたデータは集計・分析が容易になり、政策立案や企業へのフィードバックに活用できます。

電子申請の普及状況・分野による大きな格差

行政手続きの電子化は分野によって普及状況に大きな差があります。

登記分野では約66%、国税分野では約58%のオンライン利用率となっている一方で、社会保険・労働保険分野は義務化前にわずか8.9%程度にとどまっていました。

具体的な手続き別で見ると、最も利用率が高い健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届でも12%、算定基礎届は8.4%という状況でした。これは、登記や国税と比較して著しく低い水準です。
参考:総務省「改善促進手続のオンライン利用状況」(平成27年度)

電子申請義務化後の変化

義務化実施後、利用率は改善しています。

平成27年度に8.9%だった電子申請の利用率は、令和元年度には23.9%まで上昇しました。
参考:厚生労働省「オンライン利用率引上げに係る基本計画(令和6年4月1日)

令和7年の調査では、義務化をきっかけに電子申請を開始した企業が25.8%、それ以前から利用していた企業が16.1%で、合計41.9%の企業が電子申請を活用している状況です。

ただし、裏を返せば約6割の企業はまだ電子申請を活用できていないということでもあります。

電子申請できることを知らなかったという企業も22.5%存在しており、まだまだ認知拡大の余地があると言えるでしょう。

出典元:jinjer株式会社「社保手続きの電子申請義務化以降の実態に関する調査」

電子申請義務化対象企業の手続き

義務化対象企業が電子申請で行わなければならない手続きは以下の通りです。

健康保険・厚生年金保険関係

被保険者報酬月額算定基礎届(毎年7月提出の定時決定)
被保険者報酬月額変更届(随時改定が必要な場合)
被保険者賞与支払届(賞与支給時)

雇用保険関係

被保険者資格取得届(入社時)
被保険者資格喪失届(退職時)
被保険者転勤届(転勤時)
高年齢雇用継続給付支給申請
育児休業給付支給申請

労働保険関係

継続事業(一括有期事業を含む)を行う事業主が提出する年度更新に関する申告書
(概算保険料申告書、確定保険料申告書、増加概算保険料申告書)

その他の電子申請可能な主要手続き

義務化対象ではありませんが、下記の主要な手続きを電子化することで、業務効率は大きく向上します。

健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届
健康保険被扶養者(異動)届・国民年金第3号被保険者関係届
健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書
健康保険・厚生年金保険産前産後休業取得者申出書
雇用保険被保険者資格取得届
雇用保険被保険者資格喪失届および離職証明書

電子申請は義務となっている申請の他、入退社時の手続きから、育児休業、産前産後休業の申請まで、日常的に発生する多くの手続について電子申請することが可能です。

義務化対象外企業でも電子申請を推奨する理由

業務効率化とコスト削減

電子申請の最大のメリットは、業務効率の大幅な向上です。

まず、24時間365日いつでも申請が可能になります。

行政窓口の営業時間を気にする必要がなく、年金事務所への移動時間や交通費も不要です。

郵送費の削減にもつながります。

複数の事業所を持つ企業では、この効果は特に大きくなります。

また、書類の郵送コストや、窓口での待ち時間も削減できます。

紙の書類を保管するスペースや管理コストの削減にもつながります。

正確性の向上とミス削減

電子申請システムでは、入力内容に不備があればエラーチェックが行われ、記入漏れや計算ミスを事前に防ぐことができます。

また、申請状況をオンラインで確認できるため、「書類が届いているか」という不安も解消されます。

処理状況の透明性が高まり、安心して業務を進められます。

今後の電子申請拡大を見据えた準備

現在は資本金1億円超の企業が義務化対象ですが、今後対象が拡大される可能性があります。

税務申告の分野では、すでに段階的に電子申請の義務化範囲が広がってきた実績があります。

また、令和7年より労働安全衛生関係の一部の手続き(労働者死傷病報告書等)の電子申請が義務化されており、こちらは企業規模等の基準がありません。

早めに電子申請に慣れておくことで、将来的な義務化にもスムーズに対応できます。

システムや業務フローの整備には時間がかかるため、余裕を持った準備が重要です。

申請方法の選択肢

電子申請には複数の方法があります。

e-Gov電子申請は政府が運営する総合窓口で、幅広い手続きに対応しています。

GビズID は無料で取得でき、電子証明書なしで利用できるため、導入のハードルが低くなっていますが、見づらい、使いづらい等の声も聞きます。

おすすめは各社が開発している電子申請システムです。

テレビCMやネット広告等で、一度はご覧になられた方も多いと思います。

画面が見やすく、各ページにガイドがありますので、進めやすいですし、従業員マスタとしても使用できます。

数ある電子申請システムの中で、弊事務所では株式会社エフアンドエムの「オフィスステーション」を利用しております。

初心者でも非常に使いやすく、導入してから作業効率が飛躍的にアップしております。

社会保険・労働保険の電子申請義務化は、単なる規制強化ではなく、企業の業務効率化を促進する施策です。

義務化対象企業はもちろん、対象外の企業でも、電子申請の活用により大きなメリットが得られます。

利用率のデータが示すように、まだ多くの企業が電子申請を活用しきれていません。

これは逆に言えば、今から始めても決して遅くはないということです。

まず主要な手続きから始めて、徐々に対象範囲を広げていくことをおすすめします。

オフィスステーションを使用し、手続きを効率化しましょう!

弊事務所では、オフィスステーション(https://www.officestation.jp/)を使用し、手続業務の効率化を行っております。

電子申請が義務化されている手続きだけではなく、様々な手続き業務を電子申請することが可能です。

オフィスステーションを使用し、電子申請を行うことによって、進捗管理や公文書管理を行うこともでき、離職票を退職者に受け渡す作業もクラウド上で行うことが可能です。

弊事務所だけのお得なプランも用意しております。

ぜひご検討ください。

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