給与計算担当者必見!社会保険料の控除ミス7パターンとその防止策を徹底解説します!

給与計算における社会保険料の控除は、一見シンプルに見えて、実際には多くの落とし穴があります。
控除ミスが発生すると、従業員への控除の過不足や保険料納付額の誤りにつながり、修正対応に多大な手間がかかります。
また、お金のことですので会社への不信感にもつながります。
今回は、社会保険料控除で発生する間違いパターンを整理し、確認方法を見ていきたいと思います。
そもそも社会保険料はどうやって計算されるのでしょうか。
社会保険料は「標準報酬月額」に「保険料率」を掛けて算出します。
社会保険料計算の流れを簡単に見ていきましょう。
社会保険料計算の流れ
1. 従業員の報酬(給与・手当等)を集計する
資格取得(入社時等)、随時改定、定時決定の届出の際に社会保険料の報酬の基礎となる給与・手当を集計します。
2. 集計した報酬額を基に「標準報酬月額」を決定する
資格取得(入社時等)、随時改定、定時決定の届出により、日本年金機構が標準報酬月額を決定します。
3. 標準報酬月額に保険料率を掛けて保険料の総額を算出する
給与計算ソフト等に標準報酬月額・保険料率を設定し、保険料が算出されます。
4. 保険料総額を従業員と会社で折半し、従業員負担分を給与から控除する
給与計算ソフト等に標準報酬月額を設定すると、給与計算時に折半された保険料が控除されます。
この一連の流れのどこかでミスが起きると、毎月の控除額・納付額に誤りが生じます。
それぞれのステップで起こりやすい間違いを以下で詳しく見ていきます。
よくある間違いパターン7項目
① 報酬に含めるべき手当を漏らしている
標準報酬月額の算定には、基本給だけでなく各種手当も含める必要があります。
残業代や通勤手当も対象となります。
報酬に含まれる主な手当の例
- 役職手当
- 定額残業代
- 家族手当
- 住宅手当
- 歩合給
- 残業手当
- 休日、深夜手当
- 通勤手当 等
報酬に含まれない(算定対象外)の例
- 臨時に支払われるもの(見舞金・結婚祝金等)
- 年3回以下支給の賞与や一時金(賞与計算時に保険料を算出し、控除)
「通勤手当は非課税だから除く」と誤解しているケースが見られます。
通勤手当は全額が報酬に含まれますので注意しましょう。
② 保険料率の更新を見落としている
健康保険料率・介護保険料率は毎年3月に改定されます。
特に協会けんぽの場合、都道府県ごとに料率が異なるため、「昨年のままの料率で計算し続けていた」「異なる都道府県の料率を設定した」というミスが起こりがちです。
毎年2月~3月頃には必ず協会けんぽや加入している健康保険組合の公式サイトで最新の保険料率・該当する都道府県の保険料率を確認し、適切な時期に給与計算システムへの反映を忘れずに行いましょう。
③ 標準報酬月額の改定内容とタイミングを誤っている
標準報酬月額は資格取得時(入社時等)に一度決定したら永久に同じではなく、以下のタイミングで見直しが行われます。
固定的賃金(基本給・役職手当等)や給与体系、勤務形態が変わり、3ヶ月の平均報酬月額から算出した標準報酬月額と現在登録のある標準報酬月額を比べ、2等級以上差が生じた場合は随時改定が必要です。
定時決定は毎年4〜6月に支給された報酬を基に算定基礎届を提出し、9月からの標準報酬月額が決定されます。
随時改定の見落としや定時決定の届出の際に正しい報酬を記載しておりませんと、正しい標準報酬月額となりません。
また、標準報酬月額が決定となっても、実際に標準報酬月額を反映する月が間違っておりますと正しい保険料控除となりません。
- 保険料翌月徴収の会社において、随時改定により3月から標準報酬月額が改定となったが、3月支給の給与から改定して控除している。
- 改定後の標準報酬月額の反映自体を忘れてしまっている。 等
④ 介護保険料の徴収対象を誤っている
介護保険料は、40歳以上65歳未満の被保険者から徴収します。
40歳の誕生日を迎えた月分(正確には誕生日の前日が属する月分)から保険料が発生し、65歳になると徴収が終了します。
よくあるミスとして、誕生日月の控除開始・終了のタイミングを1ヶ月ずらして処理してしまうケースがあります。
3月10日に40歳の誕生日を迎える場合、3月分はまだ介護保険料が発生せず、翌月の4月分から発生すると勘違いするケースです。
そして、4月分から発生なので翌月の5月支給給与から控除(翌月徴収の会社)してしまうという内容です。
40歳になった月の分、3月分から介護保険料が発生となりますので、翌月徴収の会社は4月支給給与から控除となります。
また、誕生日が月初の従業員は特に注意が必要です。
3月1日に40歳の誕生日を迎える方は、前日2月28日が属する月である2月に40歳に該当したとして、2月分からの介護保険料が発生します。
こちらは年齢計算に関する法律に基づいて、誕生日の前日に1歳が加算されることとなっているからです。
⑤ 70歳の被保険者の厚生年金保険料
70歳になりますと、厚生年金保険は喪失となります。
そのため、厚生年金保険料を控除しないこととなりますが、健康保険は被保険者であるため、健康保険料の控除は必要です。
⑥ 月途中入社・退社時の控除を誤っている
社会保険料は資格取得日の属する月から発生し、喪失日の属する月の前月までが徴収対象です。
月途中入社(例:4月15日入社)→ 4月分から保険料が発生
月末退社(例:4月30日退社(喪失日は5月1日))→ 4月分まで保険料が発生
月途中退社(例:4月15日退社)→ 3月分まで(4月分は不要)
月途中退社の場合、退社月の保険料は発生しないにもかかわらず、給与から控除してしまうミスがあります。
月末に退社する場合と月途中で退社する場合とで扱いが変わる点を必ず確認しましょう。
また、給与の締め日支払日により注意する必要があります。
当月末締め、当月25日支給の会社の場合、当月25日が最終給与日となります。
例えば3月31日退職の方ですと、3月25日が最終給与日となります。
保険料が翌月徴収の場合、3月25日支給の給与からは「2月分」「3月分」の2か月分の保険料徴収が必要で、さらには3月分から健康保険料率・介護保険料率が改定となりますので、「3月分」については料率改定後の保険料を控除しなければなりません。
⑦ 賞与の社会保険料計算を誤っている
賞与にも社会保険料がかかりますが、通常の給与の計算とは別のルールがあります。
賞与の保険料は「標準賞与額」に保険料率を掛けて算出します。
標準賞与額は1,000円未満を切り捨てた金額となります。
標準賞与額には上限があり、健康保険は年度累計573万円(4月から翌月3月までの間)、厚生年金保険は1か月あたり150万円が上限です。
「賞与にも保険料がかかると知らなかった」「上限額を超えた分にも保険料をかけてしまった」という誤りがありますので、賞与計算時は必ず確認しましょう。
また、計算とは別ですが「賞与支払届を出し忘れてしまった」というケースもありますので、届出まで行い、保険料・年金額として反映させることが重要です。
計算ミスを防ぐための確認方法
■チェックリストを活用する
毎月の給与計算前後に以下の項目を確認する習慣をつけましょう。
- 保険料率は最新のものを使っているか
- 標準報酬月額は正しい等級になっているか(資格取得(入社時等)、随時改定、定時決定の標準報酬月額を正しく反映しているか)
- 今月入退社した従業員の控除のタイミングは正しいか
- 介護保険料の徴収対象者に変更はないか
- 70歳以上の方から厚生年金保険料を控除していないか、健康保険料は控除しているか
- 賞与支払月は上限額を確認したか
- 過去のミス・ヒヤリハット等の事例
- 改正や変更事項等の年間スケジュール 等
■給与計算ソフトの自動更新に頼りすぎない
給与計算ソフトは便利ですが、すべてソフトに任せきりにしてしまいますとソフトが自動で変更してくれているかと思ったが、変更されていない等、思いがけない状態が発生します。
まずは自動で変更が反映される部分と手動で設定が必要な部分を把握することが重要です。
また、ソフト任せにせず、改定時期には必ず設定内容を目視で確認することが大切です。
■前月比較で異常値をチェックする
毎月、従業員ごとの控除額を前月と比較し、大きな差異がある場合は必ず原因を調べましょう。
給与変動がないにもかかわらず保険料が変わっている場合は、計算ミスや設定誤りのサインである可能性があります。
まとめ
社会保険料の計算ミスは、「知識・経験不足」と「確認不足」の2つが主な原因です。
給与計算ソフトを使用しているといっても、人間が行う作業ですので、ミスを0にすることは不可能ですが、0に近くすることは可能かと思います。
よくある間違いパターンをご参考に、毎月のルーティンにチェックを組み込むことで、ミスの大半は防ぐことができます。
そして、チェック事項を増やすこと、過去の蓄積されたミスをチェック事項とすることで、給与計算の精度は大きく向上します。
しかし、給与計算システムを使用して給与計算を行うことは、ミスが起こるリスクを低減させる効果もあります。
弊事務所では、お客様の状況に応じて適切な給与計算システムのご導入をお手伝いさせていただきます。
勤怠システム、労働保険・社会保険に関する手続き関係のシステムになにを使用しているかによっても、選定する給与計算システムが変わってきますので、お気軽にご連絡ください。
弊事務所だけのお得なプランも用意しております。

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